「シズちゃんね!シズちゃん!」

腰には最近お気に入りの変身ベルトが巻かれている。
ウエストのサイズはガキのサイズになっているが、無駄に細い腰のせいでしっかりと巻かれていた。

ヘラヘラとした顔から急にキリッと表情を変えて俺を見る。


「行くよシズちゃん!サイクロン!」

「……」

なんだこいつは。ついに頭までイカレたか。…いやそれは元々か。
無視をすることに決め込んでライターを取り出すと、即座にライターを奪われてしまった。
その代わりにライターと同じくらいの黒いおもちゃを手渡され、臨也の手には同じデザインの緑色のおもちゃが握られていた。

「だーかーら!サイクロン!」

その緑色のおもちゃについているボタンを押せば、臨也と同じように音が出た。

「……ジョーカー」

「変身!」

臨也は勝手によしよし、と一人頷いてポーズを取る。まさか俺にもそれをやれって言うんじゃないだろうな。

「…ほら!変身!」

「はいはい変身」

さっさと終わらせてしまえばいい。半ば投げやりに言った。

「うっ…」

さぞ満足げに変身でもなんでもすると思いきや、急にバタリと倒れ込んだ。
何も考えずに倒れたらしくソファに軽く頭をぶつけている。
それでも声を上げずに小さく鼻を啜るだけに止まった。

「…おいどうしたんだよ」

声をかけても反応しない。
全くコイツの考えていることはわからない。
面倒くせぇと小さく呟きながらも黒髪をワシャワシャと髪の毛を掻き回した。
放っておいて後からギャーギャー言われるよりはマシだ。

「……だからシズちゃんが変身するの!二人で一人なんだからさぁ」

「あぁ…?」

「ほんっとシズちゃんって空気読めないよね!」

ヒクヒクと片眉が動く。面倒くさいのに付き合ってやったのに、空気が読めない…だと。

良いだろう。お前の望んでいる答えを言ってやる。
左手でブーブー煩い臨也を指差した。


「お前の罪を数えろ」






100912 更新

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