部屋の中にふわりと外の匂いがして、ソニックが来たのがすぐにわかった。
相変わらず物音はしないし音速侵入なんだけど、最近なんとなく、あ 来たなって気付く事が増えてきてる。
いつどこから入ったの、なんて驚いてた頃が懐かしい。



「今温かいお茶いれるね」



しみじみ過去の事を思い返しながら振り返ったら、その忍者が見たこともない奇抜な服を着ていたのだ。



「…………!!!!!」
「どうした?」
「や、なんでも………」



いつもの定位置に座ってお茶が出てくるのを待ってる。いつも通り無断で侵入してきて、いつも通りふてぶてしい態度で居座ってるんだけど。
その二の腕の部分に紐が付いてるなんて事は今まで一度も無かったよ。今日はどうしたの。



テーブルにお茶を置いてソニックの隣に腰掛ける。
見れば見るほど奇妙な服。



ニンニンTシャツは知ってた。正直あれもどうかと思ってたけど、今回のも初見でものすごい衝撃を与えてくれた。


昔を懐かしがってる場合じゃなかった。思えば私はソニックのプライベートな部分を全然知らない。
まだまだ謎だらけ。そしてこの服もいくら近くで見てもデザインの構造とか発想が謎すぎる。とくに二の腕の紐の部分が本当に意味不明でコレは何なんだろうかと考えれば考えるほどどんどん不安を掻き立てられる。



「なまえ」
「何?」
「さっきから何をしてる」



呆れたような視線を向けられ、呆れるのはアンタの服だよって言いかけてすぐに止めた。私の指は無意識にソニックの服の紐をくるくると絡めて遊んでいたようで。



「あー…ごめん。紐が…変…じゃないけど気になって、つい…」
「……べつにいいが」



『変』という単語に奴の眼光が鋭くなった気がして
咄嗟に言いかえる。私のお紐様への御無礼にもっと怒りだすのかと思ったけれど、意外にされるがままになっているから、もっと触っていいって言われてる気がして楽しくなってきた。


試しに片側だけちょうちょ結びにしてみたら、これがけっこうバランス良く結べて、不器用な私は達成感に一人頷いてしまう。




「ねー、この紐何?」
「知らん」
「いい紐だね。うん。すごくいい紐。結んどいたから、ほどかないでね」
「…………」
「反対側も結んであげようか?」
「殺すぞ」




そう言いながらも、二の腕にちょうちょを付けたまま大人しくお茶をすすっているから口元がにやける。



この紐を風になびかせながら駆ける所を想像したらけっこうかっこよかったので、たまにはこんな奇抜な服もアリだと思った。そんな午後の日。






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