温かい春の日。
ふと深い眠りの中から意識が引き戻された。ほんの少しだけ。
まだとても眠たくて、頭も体も動かせない。
夢うつつの中まどろんでいたら、誰かの手が私の髪を撫でた気がした。温かい。温かくて優しい。なぜかそう感じた。
目を開けようか迷いかけて、思考する暇もなくそのまま意識は沈んでいった。
次に目が覚めたとき、部屋の中は夕焼けの色で染まっていて。私の他に誰もいない。体を起こしてぼんやりと部屋の中を見渡す。
あの感覚は夢だったんだろうか。
夢の中と現実の出来事が混ざってごちゃごちゃになる事はよくある。あのとても不思議な現象。困っちゃうけど面白くて、私は嫌いじゃない。
そんな事を考えていたら、はらり、と枕元で何かが動いた。
「桜のはなびら?どこから…」
窓は閉まっている。外から飛んできたなんて事はない。私も今日は外に出ていないから、花びらを部屋に持ち込んだりしてないと思う。
あぁ もしかして。
ソニックさん、来てたのかも。
じゃああれは夢じゃない?
撫でられた所が急速に熱を持ち始めるから、押さえて肩をすくめる。
せっかく来てくれたのに悪いことをしてしまった。起こしてくれても良かったのに。
はらはらと花びらが舞う道を通ってきたのだろうか。
あの綺麗な髪に薄桃色の花びらをちらして歩く姿を想像したら、笑みがこぼれた。
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