「うわぁすげぇ雨!ジェノス、あそこで雨宿りしようぜ」
「はい!」


突然の夕立から逃れるため半壊した建物の軒下に入り込んで一息つく。
空の様子を見るも、どんどん大粒の雨になり勢いも激しくなっていった。



「これは暫く止みそうにないですね。家まで走りましょうか」
「少し休もうぜ。靴の中にめっちゃ水入った」



「ククク…」
「っ!誰だ!」



「 雨で家に帰れないのか。ざまぁないな、サイタマ!」


「お…お前は!」
「関節の!!!!「音速のソニックだ!!!」


声のした方を振り向くと、瓦礫の陰にソニックがしゃがんでいた。いつからいたのか分からないが、濡れていない様子を見ると俺達が来る前からいたのだろう。全然気付かなかった。



「貴様…まだ懲りずに先生へのストーカーを続けているのか。今日こそ排除してやる」
「落ち着けジェノス」
「フン。今日は貴様らに用は無い。見逃してやるから消えろ」
「雨がどしゃ降りだから動けねんだよ」



本当に戦う気がないらしい。俺達から目線をはずしておとなしく瓦礫にもたれかかっている姿を不思議に思う。
ふとソニックの横に透明のビニール傘が二本隠れているのが見えた。


「ん、なんだお前傘二本持ってんじゃん。一本貸してくれよ。ちゃんと返すから」


「なるほど。


傘      傘
変態    先生.俺  という事ですね」


「…そうだけど変な図解すんな」
「断る。なぜ俺がお前らに傘を貸さなければならない」


「…!!!


  傘      傘
変態.先生      俺  …?」


「だぁぁ!なんでそうなる!」
「組み合わせは関係無い!お前らに傘は使わせないんだ!」
「先生の頼みを無碍にするとは…」
「ジェノス、焼却砲はしまえよ」



いつもなら売り言葉に買い言葉ですぐジェノスと喧嘩になるのに、ソニックが動く気配はない。深く息を吐いてまた俺達から目線を外す。やっぱり変だ。悪いものでも食べたんじゃないか。


「ソニック、お前何かあったのか?」
「お前らには関係ない」
「腹痛いのか?俺んち寄ってくか?」
「痛くはないし寄りもしない!!」

 
(めっちゃ不機嫌にしちまった…どうしよう…)
(やはり俺がここで消しましょうか?)
(それはやめて…)



「……傘を渡さないといけない奴がいる」
「「!」」

喋った!よかったーそんなに怒ってない


「へー。そいつと待ち合わせか?」
「そうか。そんなに俺となまえの馴れ初めを知りたいか。ならば教えてやろう」
「いや、いい」

誰だよなまえって…馴れ初めとか聞いてねーよ。

「あれは夏の日…」
「なんか話し出した…」






街で怪人が暴れていた。手応えのなさそうな怪人で俺の術を使う価値もない。ビルの上から逃げまどい泣き叫ぶ群衆を見下ろしていた。


ふと一人の女が目に入った。
走ってはいるが、ほかの連中とは何かが違う。ただ逃げているわけではない。何か明確な目的がある様子が感じ取れた。


その女が何をしようとしているのか気になって目が離せなかった。しばらく観察しようとしたその時、女がバランスを崩し転んだのが見えた。
よろよろと起き上がったが、靴を見て慌てている。
どうやらヒールが折れたようだった。


「それで助けに行ったら可愛くて惚れちゃったとか?」
「なるほどありがちだな」


女の背後には怪人が迫っている。このまま動けなければ確実に死ぬだろう。
普段なら契約をしていない一般市民のために動くような事はしないが、あの女の目的に興味が湧いた俺は



「………」
「……………」
「もしかして続く?」
「そのようです」







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