『ソニック!早く来て!』





「なんて電話してくるから来てみれば…

部屋の電球を替えろってどういうことだ!!」
「だって自分でできないんだもん」



あー、やっぱり怒ってるよ。気のせい…ではない。やっぱり怒ってる。でもしょうがないじゃん。居間が暗いのは不便だし。

部屋の電気が点かなかったときは焦ったけど、ソニックと連絡がとれて良かった。自称音速なだけあって到着が速いしね。



「契約してるんだからこれぐらいやって当然でしょ」
「こんなくだらない雑用のために雇われたわけではない」
「じゃあ私が電気の点かない部屋で一生過ごす事になってもいいの?」
「構わん」



とか言いながら、既に椅子の上に乗って電気カバーを外しにかかってるから微笑ましい。
顔はムスッとしたままだけど。

見上げたら一生懸命電球と格闘してる姿が目に入って、真剣に作業する顔がちょっとだけかっこよく見えた。



「いつもなんだかんだ言って助けてくれるよね。そういうとこ好きだよ」
「なっ!!!」

ガタァ

「きゃあああソニックー!!!」

いきなり足を踏み外すからビックリして心臓が止まるかと思った。グラグラした椅子をしがみつくように押さえる。


「ちょっと!気をつけてよー!」
「お前が変な事言うからだろ!」
「変な事って、アレは違うからね、そういう意味じゃなくて」
「し、知ってる!!」


じゃあなんでそんなに真っ赤なんだよ。
あぁヤバイ、私まで恥ずかしくなってきた。こいつのこういう反応ほんとやめてほしい。





「点いたぞ」
「わぁ!良かったー!ありがとうソニック」


すっかり明るくなった部屋で、お部屋を照らしてくれている新しい電気を見上げる。

さっきの事はお互い触れずに。何もなかったように。照れちゃう事は全部忘れてしまって、ゼロからスタートする。いつもと同じ。




「これでしばらく大丈夫だね」
「俺は帰る。また電気が切れた時は呼べ」



また呼べかぁ。


「この蛍光灯の寿命っていつだろう」
「さぁな。でも長いだろ」
「じゃあそれまで契約更新だね」
「…………!」



みるみる赤くなってく顔をニヤニヤ眺めてたら、誰がお前なんかと!ってありがちな捨て台詞を吐いて窓から飛び出てった。

また呼びつける口実を考えなきゃ。私は本気だからね。契約更新。





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