なまえの様子が変だ。いつもはボケッとしているのに、珍しくあんなにうなだれて。一体どうしたんだ。
そうだ。この前の仕返しをしてやろう。いい機会ではないか。
「おいなまえ」
「?」
両頬を手で包み込んでグイッと俺のほうを向かせた。
「元気を出…」
「!?」
「せ…」
「………」
近い!!そしてこの位置だと若干上目遣いに…!
やり返してみたものの、なまえのほうは無抵抗でされるがままだし、ここからどうするのか全く考えていなかった。
少しだけ困った表情で見つめられるが、俺も困っている。やり返しているのに勝っている気がしないのはなぜだ。
「…」
「〜〜〜ッ!」
いつもいつも俺ばかりがこいつに振り回される。俺がなまえに一矢報いる事はできないのか!?
「もういい!お前など知らん!!」
「…………」
今日は一時退却だ。体制を立て直して再度挑戦する。
サイタマの前に、こいつを克服するのが先かもしれない。
未だ固まっているなまえには気付かず、音速で立ち去った。
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