俺が少し目を離した隙に、どこから湧いて出たのかサイタマとなまえが接触していた。
いつのまに。


「チョコ食う?ジェノスが作ったやつ」
「いいんですか「よくない!!」




「サイタマァ…なまえを餌付けしてどういうつもりだ」
「えっ なんのつもりもないけど」
「なまえも!サイタマには近付くなと言っただろう!」
「でも…」
「行くぞ!」


なまえの手を掴んで早足で歩きだす。とにかく一刻も早くなまえをサイタマから離さねば。



半ば引きずるように歩いて、やっと落ち着いてきたとき、握っている手がとても小さい事に気づいてしまった。


今までこんなに小さい手で戦闘をしてきたのか。手裏剣は投げれるのか?指も細いし、それに冷たい。こんなに冷たいとつらいだろう。大丈夫なのか。


背は俺より低いし、体が小さい事は見た目で知っていたが、こうやって触れるとその小ささがより鮮明にわかる。





「!!!」



ごちゃごちゃ思考を巡らせていたら、掴んでいる手をギュッと握り返された。



「なっ何握って…」


慌てて振り返ると、きょとんとしたなまえが目に入る。



そうだ。俺はずっとなまえの手を掴んで歩いているのだ。
なまえの手。
今になってこの状況の重大性に気付く。




「…………ダメでしたか?」


またいつもの瞳で見つめられ顔が熱くなっていく。



こいつはこの状況が恥ずかしくないのか?俺だけが意識しているのか?


それよりこの手はどうする。離すか?
ダメでしたか?と聞かれたのだった。ダメなのか?なまえの手…ダメでは…





「ソニックさん?」
「…ふん。行くぞ」



手を引いて再び歩き出す。
後ろのなまえがどんな顔をしているのかはわからないが、変わらずに握り返してくる手があるから今はそれで充分だ。




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