あぁ…また1日が始まった…
お散歩。あんなに楽しみだったのに、昨日すれ違った変な人のせいですっかり気持ちがしぼんでしまった。


気分転換のために外に出てみたけど、やっぱり前みたいに楽しめない。どうしてこんな事に。
帰ろうと横の建物に飛び移ろうとした時、思いっきり足を滑らした。


嘘!?


まっさかさまに落ちる。どうしよう絶対痛い事になる。
強く目を瞑って覚悟を決めた。




「俺の上に落ちてきて何のつもりだ」
「…………えっ」



あんまり痛くない。


目を開けると見覚えのある黒い人に抱えられていた。


「あ…あの…」
「フッ」


え…今鼻で笑われた…


「なんだ昨日ののろま女か」
「の!?そ…そんなこと」
「見たところお前も忍者のようだが、動きはトロくさいし今も落ちてくるし一般人並なんじゃないのか?」
「う…………」


何も言い返せない。涙出そう。



「お前、明日には死んでるかもな」
「おっ降ろしてください」


胸板をグイッと押して抱えられていた腕から抜け出す。黒い人はすました顔で立ってる。

なんなのこの人。なんで初対面なのにこんな酷い事言えるの。

  
睨もうとしたら顔目掛けてクナイが飛んできて間一髪避けた。驚いて声も出ない私を無視して黒い人が喋り出す。


「今のは避けれるんだな。少しはやるようだが、どうせ長くは生き残れないだろう。ここで俺が殺しておいてやる」
「え」



この人の思考回路がよくわからない…



刀の燐光が見えた瞬間全力で逃げたら追いかけ回された。



手裏剣やら爆弾やら乱れる中で走馬灯のように色々考えた。


馴染めない里を飛び出して、新しい土地で頑張ろうと思ったの。
裕福ではないけど、食べるものに困らない程度に稼いで、楽しくはないけど、何だかんだ平凡に生きてました。

つまらない日常とか言ってごめんなさい。

こんな怖い事になるなら、昨日までの日常のほうが全然良かった。







夜、どうにか逃げ切った時には全身傷だらけで、妙な達成感はあったけどとにかくくったくたで、泥のように眠った。






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