来ない。来ない。来ない。


ケーキ用意したのに。ご飯もけっこう豪勢に作ったのに。飲み物だっていっぱい。コップも可愛いのをこの日のために新調して…

なのになんで来ないの!あのアホ忍者ー!


なんで?いつもならこのくらいの時間にはとっくに来てるのに。
そりゃあ約束はしてないけど、今日はクリスマスでしょう。だから絶対に来ると思ってた。…勝手に思ってた。



待てども待てども一向に開く気配が無い部屋の窓を恨めしく見つめる。
私がこの窓を開けて、ちょうどやってきたソニックと鉢合わせになって、遅いって文句を言ってやる事ができればどんなに嬉しいか。


祈るように窓を開いてみても、冷たい風と一緒に雪が舞い込んできただけで。
途端に物悲しい気持ちに襲われて泣きそうになる。


白いため息をはきながら後ろを振り返ると、テーブルに頬杖をつきながらこっちを見ているソニックがいた。 



「こんな寒いのに何で窓を開けている。なまえ」
「………………」



奴の哀れむような目を見てると、悲しいのを通り越してふつふつと怒りがこみ上げてくるから不思議だ。


「何よその目ー!てかいつ来たの!どっから入ったの!?」
「玄関」
「はー!?いつもは窓から来るじゃない!」
「…! ほう?」


ハッ


ニヤリと笑ったソニックを見て、しまった、と思ったけどもう遅い。


「俺が窓から来るかと思って、窓を開けて待っていたのか。寒い中、わざわざ、窓を開けて俺を「違うから!!」


ムカつく…!散々人のこと待たせといて調子に乗ったこの態度!私が勝手に待ってただけだけどムカつく!


「だいたい今までどこで何してたのよ!もう知らない!今日はご飯も無し!さー帰った帰った」
「ふん。それならコレも無しだな」
「えっ」


取り出されたプレゼントらしき包み。ソニックがそんなの持ってくるなんて思わなかったから驚いた。



「さて、帰るか」
「そっそれは置いてっていいから!」
「断る」
「ねぇ 中身は何?見せて」
「取れるなら取ってみろ」



プレゼントを持った手をわざと私が届かない高い位置まで上げてくるから、その勝負、乗ってやろうじゃないのって思う。


二人でじゃれあって、普通の日も特別な日も、全部楽しくなるの。何より今日会えた事が本当に嬉しいの。

今意地悪されてる仕返しに、あとでソニックのケーキはすっごく細く切ってやろうなんて考えながら、背伸びしてプレゼントに手を伸ばした。




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