「ど…どうしたの急に…」


やっと絞り出した声に返事はない。
胸に顔を埋めるように抱きつかれて動けない。ほんとに突然のことで頭の中がぐるぐるしている。


あんなに細くて華奢に見えてた体は意外に大きかった。こんなに近くなってから気付いてしまうなんて。近いどころか密着してるし。
ソニックの顔は見えないけど、今の私はすごく赤くなってると思う。


苦しいよ、と身じろいだら余計に腕に力を込められて距離が押しつぶされた。


時計の秒針の音と、彼の息遣いと、私の心臓の音が混ざってく。
ソニックは私の心臓の音を一番近くで聞きながら何を思っているんだろう。意外に何も考えていないとか。
どうすればいいのか分からなくて困ってしまう。




「なにかあったの?」



「ソニック」




いつまでも何も喋ってくれない。


行き場がわからなくて持て余していた両手を動かしたらソニックの肩が僅かに動いた。
違うよ引き離したりしないよ。


意外に広かったその背中に手を回す。こうするしかないじゃない。させてほしい。


私の腕が背中に触れた瞬間、彼の緊張がほどけた気がした。


もしかして不安だったとか?本当のところはわからないし、知らなくてもいいや。



抱きしめられた所が温かくて、だんだん心地よくなってくる。
しばらくこのままでいても良いんでしょう。



深く息をはいて目を閉じた。







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