3.剣豪たちの宴


 一閃。
 斬り捨てられた兵士の姿は靄となり消えていく。青く燃える刀を両手にした柳生石舟斎は顔色を変えずにまた別の兵を斬った。だがやはり感触はなく、風に溶ける。
「これではまるで妖」
「ならば術者がいよう」
 石舟斎の呟きに応えたのは足利義輝だった。元の世界では将軍でもあった義輝は足元に刀を何本も突き刺し、先程から代わる代わる手に取っては幻影兵を打ち払っている。その刀を何処か羨ましげに眺めながら刃を振り翳し、上杉景勝はぽつりと零す。
「破邪……」
 ぱんと弾けて、幻影が消える。しかし宙に散った欠片を集めるようにして再び兵の形が造られていく。際限は見えない。
石舟斎の放つ炎が一層青く揺らめく。
「御託はよせ」
 弧を描き、大気を震わせる。燃えた刃は一瞬にして周囲の幻影兵を刻んだ。再生を待つこともなく、また声をかけることもなく剣豪達は散り散りに駆け出した。

 柳生宗矩は身の丈ほどもある巨大な太刀を肩の上で軽く回しながらすんと鼻を鳴らした。反対の手で覚書のされた紙を持ち、目を細めてそれを読む。
「貴石に桐箱に装備品……何でおじさんがこんなことしなきゃいけないのかねェ」
「そりゃ、あんたが暇そうにしてたからだろ」
 親譲りの鋭い目つきとぶっきらぼうな物言いで上杉景虎がばっさりと切り捨てる。発端はといえば、宗矩が知人から武器の素材集めを手伝って欲しいと持ちかけられたこと――だったのだが、当の宗矩は左程やる気ではない。武器集めならと同行した景虎、周泰からは早速呆れた目で見られている。
 同行者はもう一人。首のあたりで結った髪をぴょこぴょこと跳ねさせながら、吉川広家は無言で周囲にある木箱を壊した。中から現れた宝箱を拾い上げて睨む。
「食いモンじゃねえか」
 そう呟く広家は先程から戦闘には消極的なため、殆ど無傷だ。景虎が尋ねる。
「何だ、腹でも減ったか?」
 広家はじっと景虎を睨んで答える。
「飯食ってねえと落ち着かねえもんでな」
 睨み返そうとしていた景虎は、ろくな面子じゃないと心に愚痴をこぼし、寡黙な周泰を横目にした。諦めたように溜息を吐く。
「……にしても」
 見上げた空は酷く淀んでいる。この異世界においては澄み切った空気の方が珍しい。それを踏まえても、今の視界は暗い。
「煙か?」
 広家も顔を上げ、目を細める。淀みは雲のようにも見え、またどこからか流れているようにも見えた。宗矩が傍で太刀を下ろす。
「行ってみるかァ? どうせ目的地もないんだァ」
「まー、そりゃそうだが……」
「俺ぁどっちでもいい」
 三人は黙っている周泰に視線を移した。気付いた周泰は軽く頷く。
「……行くか……」
 紫色の煙が流れてくる方へと歩を進める。
 徐々に濃くなる煙の元には祭器と思われる奇妙な釜が置かれていた。禍々しい煙はそこから出ている。周泰は腰の刀に手をかけた。
「……壊す……」
 太刀を背負い、宗矩が頷く。
「だねェ。こういうものを放っておくと碌な事がないってのがこの世界の常識だァ」
 言葉の途中で釜が砕けた。見ると周泰が刀を納めたところだった。釜の中に充満していた煙が弾ける。かと思えば、それはむくむくと大きくなり、牛の頭を持った巨大な遠呂智兵へと変貌した。
 宗矩はくっと下卑た笑みを浮かべた。
「ほら、なァ」
「言ってる場合かよ」
 煙管を口に咥え、景虎は刀を振り上げる。龍の装飾が施された刀は美しく、仰々しい。景虎は刀を真っ直ぐに構え、背に手を添えた。一服し、牛頭の妖魔を見据える。
「目障りだ」
 太い腕に刃がめり込む。だが、致命的な傷は与えられないようだった。景虎が小さく舌打ちしたのを見て、広家はだらしなく胸元の開いた服を正す。
「親父譲りってのが癪だが……」
 矢を模した槍を構え、踏み込む。気怠げな広家の瞳がかっと灯った。景虎も刀に更なる力を込め、くるりと回転して妖魔の腕に乗り、さらに跳ねた。
「失せろ!」
「ここは通せねえよ!」
 跳び上がると同時に振り下ろした刀が妖魔の頭を切り裂き、腹には槍が突き刺さる。断末魔を上げた後、妖魔は霧のように消えてしまった。着地した景虎は口を離れて落ちようとする煙管を空中で拾い、また咥えた。吸い、ふうと息を吐く。紫煙が燻る。広家は自分の仕事は終わったとばかりに槍をだらりと腕に下げた。
「お見事、だが」
 宗矩が空を見上げる。空は先程よりも少し澄んで見えたが、未だに別のところから同じ煙が上がっているように見えた。
「どうやらまだ残ってるようだァ」
「そうみてえだな。どうせなら手分けして壊すか?」
 景虎の意見は特に異論もなく受け入れられ、景虎と周泰、宗矩と広家はそれぞれ別の方を目指すことになった。

 ぱりん、と音を立てて釜が壊れる。何事も無く祭器を壊すことに成功し、義輝は表情を変えることもなく納刀した。辺りを漂う瘴気は先程から薄れている。
 ふと目を地面に向けた義輝は、陶器の破片に細い糸のようなものが付着していることに気付いた。触れると溶けたようになくなり、見失ってしまう。
「失敬。この子達の糸が残っていましたか」
 右の眉から頬に至る大きな傷跡、先に向かう程黒くなる髪。肩には蜘蛛を乗せ、それは義輝へと近付く。焼け野原の祭壇に義輝は容赦なく刀を突き立てた。ずらりと並んだ名刀にも臆することなく笑い、釜の破片を踏み潰す。
「久し振りですねえ、将軍」
 先程まで祭器があった場所で、松永久秀は笑っていた。戦を知らない人間ならば、それだけで充分な恐怖を覚えるだろう、邪な笑顔だ。久秀が何か次の言葉を紡ぐより早く、その胸元に切っ先が迫る。首元を守っていた緑の薄い布がばっさりと裂かれたが、肉体には届かない。
 久秀は掌を義輝の方へと向けた。その瞬間、手甲から蜘蛛の糸が射出され刃へと絡みつく。あっという間に刀身を一巻きにしてしまった糸は柄へ、またそれを握っている手へと伸び、縛り付ける。だが義輝は眉一つ動かさない。
「小癪な」
 大地に突き刺していた別の刀を左手で拾い、糸を切り払う。久秀は残る剣山の一本に糸を伸ばし、柄に巻きつけると腕を引いた。土が飛び、煌めく銀が久秀の手に収まる。
「流石、良い物をお持ちで」
「貴様には勿体無き代物よ」
 義輝は左手で久秀に斬り掛かった。久秀も奪った刀で受け止める。最初は片手で握っていた久秀だが老いた腕では堪え切れず、両手で持ち直す。その一瞬を狙い、義輝は右手の刀で久秀の腕を払った。ごとり。片腕の手首から先が切断され、転がり落ちる。久秀は思わず刀を放り投げて跪き、喪った部分を押さえた。肩が震える。
「クッ……クク……」
 天を仰ぎ、久秀は嗤う。
「クハハハハ!」
 狂った笑い声を聞き流しながら、義輝は足元に転がった手を見下ろした。すっぱりと斬り落とされたそれからは一滴の血も流れていない。義輝は目を閉じ、久秀の胸を貫いた。やはり血は出ない。久秀の身体も、落ちた腕も、さらさらとした霧になって消えてしまった。
「やはり、幻であったか」
 空がまた一段と青く澄み渡ったが、見渡すと二箇所だけはその周囲が黒く濁っている。義輝は全ての刀を回収し、祭壇跡を後にした。

 景勝は、少々閉口していた。祭器が祀られている場所に辿り着いたのは良いものの、近寄ろうとする前に幻影兵が出現し、景勝の前に立ち塞がっている。兵の一人や二人は敵ではないといえ、数が重なればその限りでない。だが、実子でなくとも景勝は軍神の息子だ。普段は表情が薄い景勝の唇がふっと緩む。
「……闘争……楽しまん」
 体内を滾る血潮が彼を駆り立てる。
 背負った数本の刀を鳴らし、景勝は大地を蹴り幻影兵の懐に駆け込んだ。三人、四人と、まとめて薙ぎ払う。斬り伏せる度に兵は霧となり再度人や妖魔を形作ろうとするが、その頻度も減ってきていることに景勝は気付いた。祭器を探す道中も幻影兵に襲われたが、道を切り開きこうして無事辿り着いている。それまでは夢中で分からなかったのだがどうやら幻術にも際限があるらしい。感じる瘴気が徐々に薄らいでいっているのも原因の一つかもしれない。景勝は考えるより先に手薄となった前を走り抜け、煙を吹き上げている釜に向けて刀を振り翳した。
 その時だった。ふっと影が景勝の釜の外側に映り込む。自分の身体よりも大きな影だ。景勝は振り返って見上げた。牛頭の巨大な妖魔が佇んでいる。そう認識するより早く、棍棒が横から景勝を吹き飛ばした。口の端から血が溢れる。それでも空中で受身を取り、釜の傍に着地する。
 景勝は休ませるために刀を納め、別のものを抜き出した。乱暴に振るわれる棍棒を避け懐へと飛び込む。一太刀。表層に傷が入る程度で、幻術の妖魔相手ではすぐに再生してしまう。口元の血を手の甲で拭い、景勝は妖魔の腹に切っ先を突き立てた。妖魔の動きが止まる。もうひと押し、と景勝はさらに刀を押し進めた。だが妖魔は突如唸り声を上げ、景勝を手で掴み、投げようと振り上げる。この高さから叩き付けられる。そうなると軽い怪我では済まないだろう。どうにか打開しようと指の間で藻掻く景勝は、見下ろす状態となっていた妖魔の背に迸る剣筋を見た。
「……斬る……」
 真横に一筋、皮膚がすっぱりと切り裂かれる。妖魔は驚いて手を開いた。景勝は落ちる間に背の鞘から刀を抜き出し、着地すると素早く妖魔の腹を割いた。弾ける音と共に突き刺さっていた方の刀がカランと転がる。先程まで妖魔で塞がれていた向こう側には、たった今駆けつけた周泰が表情を固めたまま立っていた。
 景勝はこの黒い大男をじっと見つめた。周泰もまた刀を何本も背負った男を見る。
「…………」
「………………」
 互いに言葉は出ないまま、時間が経つ。空では烏が啼いた。
「……せめて何か喋れ、ド阿呆ども!」
 痺れを切らした景虎が二人を順番に蹴り飛ばす。景勝は漸く景虎が周泰の影に隠れていたことを知った。
「……虎」
 ほんの少しだけ嬉しそうな声色になる。景虎はハッと笑い飛ばし、刀を拾い上げて景勝の背に納めた。
「おう、俺も義父上も無事だぜ。さっさとそれ壊して帰るぞ」
 祭器を顎で示した景虎に周泰は無言で頷き、釜を砕く。飛び散った煙は一点に集まり、何かを生成しようとしている。
「これ以上何か出るっつうのか」
 景虎は溜息混じりに吐き捨て、煙管を咥えた。三人は武器を構えたまま、じっと見守る。煙が晴れ、現れたのは――魔王遠呂智そのものだった。
「んなもん有りかよ!」
 勿論、幻術であって本人ではないことはよく分かっている。それでも景虎は叫ばずにはいられなかった。自分くらいしか突っ込むものがいないだろう、と無意識のうちに悟ってしまっていた。同時に、そんなことを言っている場合ではないと気付く。景虎は慌てて二人に声をかけた。
「偽物とはいえ、こんなもん放置するわけにはいかねえ! さっさと――」
 景虎は言葉を詰まらせた。景勝が黙って指差す方向をゆっくりと見る。遠呂智は妖気のようなものをまき散らしながら宙に浮いたかと思うと、一瞬のうちに消えてしまった。しかし完全に消えてしまったわけではない。移動しただけなのだ、と経験のうちに分かる。
「倒す、ぞ……」
 景虎の口元から煙管が抜け落ちようとする。それを慌てて拾い、咥え直すと、景虎はふっと微笑んだ。
「何処いきやがった!」
 虎の咆哮に、烏が飛び回る。

 釜を割り、現れた妖魔も退け、石舟斎は腕を下ろした。空の煙はすっかり消えていた。全ての祭器を取り除いたのだろう、と納得し、先程から合流する手立てを考えている。
 宗矩と広家がやってきたのは、暫くしてからだった。途中で空が晴れたことに気付いた二人だったがそのまま進み、石舟斎に出逢う。息子である宗矩は参った、という顔で頭を掻いた。
「親父殿がいたとはねェ。これは無駄足だったかァ」
「その様子では大丈夫そうだな、愚息よ」
 石舟斎は冷ややかに宗矩を睨む。その横で広家は道端の壺や木箱を壊している。宗矩は父親から目を逸らし、広家に声をかけた。
「一人でとらないでくれよォ」
「分かってらあ」
 広家が小さな袋を投げ、宗矩は受け取る。外側から触ると、中に石のようなものがごろごろと入っていることが分かった。
「どうも」
「俺の分はもう集まったんでな。あとは好きにしろ」
 ひらひらと宗矩に手を振ると、広家は石舟斎に近付いた。じろじろと眺めるのを見て宗矩の方が肝を冷やす。広家はぼそりと、
「……似てないですね」
 そう呟いた。石舟斎は僅かに笑う。宗矩にしてはそれがより恐ろしい。
「よく言われたものだ」
「ああ、俺は吉川広家ってモンです。あいつと居るのは成り行きで」
「そうか。愚息が世話になった」
 礼儀正しく頭を下げる広家を石舟斎は気に入ったらしく、ぽつぽつ話しながら祭壇を離れ始めた。袋を懐にしまい、宗矩もゆっくりと後についていく。広家は、自分たちがかぐやという仙人の力で未来から戻ってきたこと、未来と過去を行き来する光陣の開いた場所へ向かえば取り敢えず自分たちとは合流できることなどを石舟斎に説明した。
 石舟斎は、
「その愚息が無事であることが何よりの証拠であろうな」
 と広家の話に頷いた。何の手段も安息地もないままではこの世界で生き残れていなかっただろう――と。厳しい言葉ではあるが、宗矩はそれも父親なりの心配であったと分かっている。そして何より。
 ――手から炎だか光だかを放つ人間がいるくらいだからなァ。時を遡るくらい不思議でも何でもないよォ。
 呆れた視線を親の背中に送るのだが、石舟斎は振り向かない。そこへ叫び声が降り注ぐ。
『何処いきやがった!』
 聞き覚えのある声に、広家は顔を上げた。バサバサと烏が飛んでいく。
「景虎殿、か?」
 宗矩も烏を見送り、首を縦に振る。
「また面倒事かァ? ま、あの声のおかげで逢えそうだねェ」
 一方、景虎の声を聞いていたのは烏や広家達ばかりではない。別のところにいた義輝にもそれは届く。
 さらにもう一人。咆哮が轟き、荒廃した世界をのんびりと散策していた男は驚いて立ち止まる。公家風の衣装はこの世界には似つかわないほど華やかだ。
「穏やかじゃないねえ」
 大内義隆は呟き、護身のためだけでしか使う気のない刀の柄に腕を乗せた。苦手なわけではないが、まず戦うつもりがない。
 人が居るのなら、と声の発された方を探し始める。同時刻、景虎達は走り、広家らと義輝は景虎の残響を追って、ついに開けた地でそれぞれは再会し、そして道の先に義隆の影を発見する。
「何だ、まだ生存者が……」
 駆け寄ろうとした景虎はしかし足を止めた。蚊の飛ぶような音が耳を掠め、悪寒が走る。
「チッ、こんな時に……!」
 広家の舌打ちも聞こえないまま、義隆は目の前を塞ぐ遠呂智の幻影を笑顔で見上げた。
「余は呼んでないんだけど、仕方がないかね」
 巨大な鎌を遠呂智がおざなりに構えるより先に、躊躇なく刀を抜く。閉じているようにも笑っているようにも見える瞳の奥には何が映っているかも分からない。
「褒美を取らすぞ」
 刀の先端が遠呂智に触れる。その瞬間、刀自身が周囲に風を纏い衝撃波を放つ。烈空に弾かれた遠呂智は体勢を崩した。隙を見逃すほど甘い武士はここに居ない。一足に駆け、口上を述べる。
「ここに示さん!」
「尽き果てるまで!」
「無に返す……」
 景勝、義輝、周泰の刀が遠呂智に突き刺さる。それでも幻術は消えない。鎌が僅かに動き、三人はその場から離れた。鎌が風を切り裂く。キン――という音がして、それは中空で止まった。青い鞘に突き刺さった鎌を押し戻し、宗矩は静かに口を開く。
「斬釘截鉄」
 頑なに外すことのない鞘から太刀の身を抜き払う。目にも止まらない一閃が遠呂智の身を真っ二つに凍らせる。瞬きよりも早く、宗矩は太刀を鞘に戻した。鍔と鞘口がぶつかると同時に氷が弾ける。
 宗矩は己の手を見つめ、ぐっと握り締めた。
「……平常心」
 幻術は霧になって消える。

 陣地に戻ってきた各位はひとまず宴会場を借りて定型通りの説明をし、漸く腰を落ち着かせた。
「まさかこんなことになるたァな」
 景虎が咥えたままの煙管を揺らす。その視界の端で広家は弁当を頬張っている。腕を組む石舟斎から距離を取って座る宗矩は、懐の袋から貴石をいくらか取り出して持ち上げた。
「苦労の割に、収穫はこれだけかァ」
 きらきらと透き通る石はここで様々な用途に使われる貴重品でもある。盃を片手に宗矩の様子を盗み見た義隆は、不意に首を傾げた。
「何、その石を探してたの?」
「ん、ああ」
 動揺気味に宗矩が頷く。その様子には興味を示さず、義隆は服の間から大きめの袋を出した。
「だったら、結構持ってるよ。勝手に集まっちゃうし。これ以外ならあげてもいいよ」
 袋から一層輝く希少石だけを手にし、残りを宗矩の方へ軽く投げる。ずしりと揺れる質量を眺めて宗矩は溜息を吐いた。
「……結果がよければそれでよし、かなァ?」
 礼は後で依頼人にさせると約束し、宗矩は盃を仰いだ。向こうでは石舟斎が義輝に酒を注いでいる。景勝と周泰は無言の会話を始め、景虎に叱られている。傍の広家はゆっくりと弁当を口に運んでいる。宗矩はここまでぐるりと見回し、胡散臭い人間同士が集まるのも道理だと嘲笑った。義隆は相変わらず底知れない瞳を何処かに向けている。
「ま、いいかァ……」
 盃に映る月を飲み干し、宗矩はごちた。




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