2話(1/3)

「アネモネ〜このあと暇?カラオケ行かない?」
「あ〜ごめん、今日はいいや。また誘って」


何よう、付き合い悪いわねーと口を尖らせながら抗議してくるナミを宥めながらも私はいそいそと学校から出た。これから特に何か予定があるというわけでもないけど、ただ今日はカラオケという気分じゃなかった。それだけの話だった。

本屋にでも寄ってから帰ろう。確か今日は大人気モデルハンコックの写真集発売だった気がする。ゆるりと自転車を漕いでると背後から声をかけられた。誰かと思い振り返ってみるとそこにはサボがいた。


「あれ、サボ?何でこんなところに!」
「久しぶりだなァ、アネモネ。いや、今日はたまたまこっちから帰ろうと思ってな」
「わあ、そうだったの!やだーなんかまた身長伸びた?どんどんカッコよくなってくねェ」
「はは、相変わらずだな。こっちの道で帰ってみて良かった。久しぶりにアネモネに会えたし」


そう言ってにんまりと笑うサボ。嬉しいこと言ってくれるなあ!サボとは会う時間は減ったけどいつもと変わらず接してくれる。それが嬉しくて私も自然とウキウキしてきた。


「そうだ、乗りなよサボ。家まで乗っけてってあげる!」
「いや、普通逆じゃねェか?おれが乗せてやるモンだろ」
「何言ってんのこれは私の自転車なんだから私が乗っけてあげるの!ほら早く乗りな」


自転車の後ろを叩きながら座るように促す。サボは困ったように笑いながらもしぶしぶ座ってくれた。2人乗りなんて、いつぶりだろう!前はエースとルフィとサボとで4人乗りしてはすっ転んで大怪我したもんだ。懐かしい。

ペダルをギュッと踏んで漕ぎ始めようとするも案外サボが重くてよろよろしてしまう。しまった!と思った時にはもう時既に遅くてサボと一緒に植木へと突っ込んだ。


「いたッ、いたーい!!」
「……おれが乗せた方が絶対良かったよな?」
「えへ…えへへ…そうですね……ご、ごめんなさい」


ゴツンと重いサボからのゲンコツを食らった。加減くらいしてほしいもんですねえ!ええ、全く。グイッと腕を引っ張られ起こしてもらうとハンドルをとられ自転車の主導権を奪われてしまった。

顎で早く乗れと促されてしぶしぶと乗る。はーああ!


「真っ直ぐ家でいいよな?」
「あ、うん。お願いしマス」
「おおっと、よろけた〜」
「ぎゃー!何してんのサボ!危ない!転ぶよ!」
「さっきお前の危ない運転で転んだだろうが」
「いやそれはそれでしょ」


言い返したらサボがまた自転車を大きく揺らして振り落とされそうになった。ふざけんな。


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