6話(1/2)

「ねえナミ」
「何よ?」
「私夢見てるのかな」
「何の話?」
「そうだよね、夢だよね…」
「だから何の話?」
「そうだね…夢だ、うん。きっとそう」


だから何の話かって聞いてるでしょうが!とナミからの右ストレートでハッとする。めっちゃ痛いんだけど!加減すらしてくれないのねアナタ。じんじん痛む頬に手を当てながら携帯の画面をナミに見せた。画面を見たナミはおお、と声を漏らした。ね?やっぱり驚くし夢だと思うでしょ?


「夢ね」
「そう思うでしょ?」
「ええ。夢ねこれは」
「だよねえ」
「でもとりあえず行ってきなさいよ」


え!とつい声を張り上げてしまう。手に持ってた携帯をつい落としそうになる。チラリと画面を見るけど、ああでもやっぱり信じられない!

だって、考えてもみてごらんよ。女の子に困らなそうなあのエースから、遊びのお誘いだよ?いやどう考えても夢だとしか思えないでしょこんなの。バッカじゃないの!バーカ!


「待ってよナミ、よく考えて。あのエースが私と遊ぶなんてありえる?」
「ありえないこともないでしょ。幼馴染なんだし」
「いやでもだからってそんないきなり誘うかなあ」
「アンタ何をそんなに渋ってるわけ? 好きな男と一緒にいれるんだからそんな深い事考えてないで出かけたらいいじゃない」


う、ごもっともですナミのお姉さん…。こんなことあるかないかのことだからそりゃ一緒にいれるときには一緒にいた方がって思うけど、ね。ね!

エースからの受信画面を見ながらふつふつと湧き上がってくる喜びを抑えながらもいそいそと返信をした。へへ、エースと一緒に遊びに行けるんだ〜!


「とりあえず報告楽しみにしてるからね」


強く背中を叩かれてむせてしまった。ひらりと手を振りながらナミは教室から出て行った。ああ、確かナミは今日合コンがあるって言ってたなあ。

ピコン、と通知音を鳴らす携帯を見てみるとエースから17時に駅前という連絡。今日はほんの少しくらい、おめかししていってもいいよね!へへ



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(サボ視点)


「ねえちょっとやりすぎなんじゃないの…?」
「いいのよ別にこれくらい!」
「そうそう!あっちも信じきってるみたいだしいいのいいの!」


何だか同じ学科の奴らが大分盛り上がってる。別におれには関係ないことだとは思うけど、何だか嫌な予感がしないこともない。チラリと横目で見るとメンバーのうち1人と目が合ってニッコリと笑みを向けられ手を振られた。一応、おれも手を振り返してはみたけど、それでも何だかあの作ったような笑みがどうしても引っかかってしょうがなかった。


「あっ、エース〜!」
「あ、なあお前ら俺の携帯知らねェ? ここの教室に置きっぱにしちまったと思ったんだけどよ」
「携帯?もしかしてこれのこと?」
「おっ、それだ! サンキューな」


女から携帯を受け取るエースにはあ、とため息が出る。お前本当こういうときだけいいツラしてるよな。女達のきゃあきゃあ言う声に頭がキーンとする。


「サボ」
「…何だよ?」
「あ? 何だよ怒ってんのか?」
「怒ってはねェ。ただうるせーなって思っただけだ」
「はは、それは同感だ。…あ、それより今日よ、おれ帰り遅くなるからルフィの飯よろしくな」
「お前が帰り遅いのはいつものことだろうが」


はは、だなんて笑いながら「頼んだぜ」とおれの背中を強めに叩いて教室から出て行ったエースにまたため息が出た。

女遊びも大概にすりゃあいいのに、あのバカ。


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