1話(1/2)

エースとルフィとは、物心がつく前から一緒にいた。何をするにせよいつでもどこでも、何でも2人と一緒だった。ご飯も、お風呂も、遊びに行くのも、着る服も、ほぼほぼ全部が一緒だったと思う。

小学校に上がってから2人に出来た、もう1人の兄弟ともいえるサボが現れた。私自身もサボと仲良くなるのに時間はそうかからなかった。

私たちは、4人でどこへでも行ったし、何でもした。大人になってもずっとこれは変わらないと思っていたし、変わるはずもないと思っていた。

でも、いつからなのだろうか。
私たちがバラバラになってしまったのは。記憶を辿ってみても全然わからない。気が付いたらだった。本当に、気が付いたらいつの間にかみんながバラバラになっていた。

私を除く3人は同じ家に住んでいるから、そう変わりはないだろうけど、私だけが、なんだか置いていかれるというか、変わってしまった気がしていた。


「アネモネ、まだ起きてたの?もう寝なさいよ」
「あ、うん。ごめんお母さん…もう寝るね、おやすみなさい」


風邪をこじらせて学校を休んでたもんだから、書いていないノートがたくさんあって大変だった。腱鞘炎にでもなるんじゃないかというくらいペンを握っていたし、もうしばらく字も書きたくなければペンも握りたくない。もっと言えばノートももう見たくない。

借りたノートをパタンと閉じる。殴り書きされたジュエリー・ボニーの字を見てクスリと笑みが零れた。いつもは私がノートを見せてあげてるのに、わざわざノートを持ってきてくれたボニーには感謝しなくちゃ。明日学校行く前にコンビニに寄ってなんか買っていこう。

チラリと時計を見ると、日付が変わってから1時間くらい経っていた。通りで眠いはずだ。重い腰をあげてググッ、と伸びるとポキポキと骨が鳴った。一体どれくらいノートを写していたのだろうか。


「そうだ、ゴミ出ししなくちゃ…」


晩御飯を食べ終わってから確かお母さんにそんなことを言われた気がする。深夜にゴミ出しするのはいけないことだとは分かってはいるけど、どうも朝早く起きて出す気にはなれない。母という存在はやっぱりすごい。朝早く起きてご飯作ってお弁当も作って家事をこなしてだとか、そんなの私にはやれる気がしない。

玄関先に置いてある大きいゴミ袋を持って大きい物音を立てないようこっそりと外へ出た。…ゴミ出すついでにコンビニに寄ろうかな。


「どっ、こいせ…はあ重いな何でこんなゴミが溜まるんだ…」
「こんばんはアネモネちゃん」
「あ、コラソンさん。こんばんは」


ドサッと置いたのと同時に、近くに住んでいるコラソンさんがゴミ袋を持って現れた。私以外にもやっぱり出す人はいるんだな、うん。


「やっぱりこの時間にゴミ出ししちゃうよな」
「コラソンさんもですか?」
「ああ。…このことドフィには内緒にしておいてくれよ?」
「言いませんよ〜ドフラミンゴさんとは滅多に会わないんでそんな心配することもありません」
「そっか。じゃあなアネモネちゃん、おやすみ」
「おやすみなさいコラソンさん」


にひひ、と笑いながら長い足をパタパタと動かして去っていくコラソンさんを見送りながら私もちゃっちゃとコンビニに寄って早く寝ようと思い歩き出すと、ドンと肩がぶつかった。

咄嗟に「すみません」と言おうとするとぶつかった人は何も言わずそのままヒールを鳴らして去っていった。ツン、と香る甘ったるい匂いが鼻に残って少し嫌な気分になった。


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