8話(2/3)

「待ってルフィ逆走してる!反対だよ!」
「あ?! 今サボとすれ違ったぞ!!!」
「だから戻れって言ってんだろルフィ!!」
「ッシャ、サボ抜かした!」


カラオケにでも行こうと思ったけど生憎お金が無かった私達はテレビゲームで落ち着いた。最初は文句を言っていた3人だったけど、やっぱり男の子なんだね。やってる内に誰よりも本気になっている。さっきまでの私に、ついていけないぜとでも言いたそうな雰囲気は今じゃどこかへ消え失せてしまった。むしろ私が3人のテンションについていけない。


「くらえエース!」
「待ってサボダメ私も巻き込まれ…!!」
「あっっぶねー! アネモネサンキュー!おれの代わりに!」
「なあ〜これどこ行ったらいいんだよ〜??!」
「ああもうルフィコントローラー貸して! 私がやる!いい?!真っ直ぐ進めばいいの!カーブは曲がるだけ!分かった?」
「おう!」
「悪いな、おれの勝ちだ」
「お!なんだこの青いコウラ〜!」
「おいルフィそれエースに飛ばせ!」
「バッ、やめろルフィ!!」
「しししっ、おれが1番になる!!!」


ルフィの飛ばした青のコウラはエース目掛けて飛んでいきルフィはそのままエースを追い越して1位になった。ぴょんぴょん飛び跳ねて喜んでるけど、そのプレイヤー私だから結果私が1位なんだよルフィ。悔しそうにギリギリと歯を食い縛るエースを見てサボと笑う。それがカンに障ったのかエースはギャンギャンと騒ぎ立てる。


「アネモネ! 大体お前がルフィとコントローラー交換したのが悪いんだぞ!」
「はあ?!自分が負けたのを私のせいにしないでもらえますか!」
「おい2人とも…」
「可愛い可愛いルフィが進めないって言って困ってるんですよ?! それをほおっておくんですか!へえー!そうなんだー!」
「な、んだよ…そうするとは言ってねえだろ…」
「でも言い方変えたらそうなりますよねー! あー可哀想!ルフィ可哀想!ゲームでこんな本気になっちゃって弟と私に当り散らす兄貴サイテー!」
「なっっんでいちいちお前はそうやって煽ってくるんだ!!」
「ぎゃ、ぎゃー!サボ!助け、あー!」


飛びかかってきたエースに受け身を取れなかった私はそのままエースと一緒に倒れ込む。すかさずサボに助けを求めたけど、それを見て何を勘違いしたのかルフィが「おっもしろそ〜だなぁ〜!」って言ってエースの上に乗っかってきた。

お、重い!潰される! 再度サボに助けを求めれば、彼はニタリと笑ってまたその上に乗っかってきた。エースがぐえ、って声をもらしたけど私は声すら出てこない!ち、窒息する!


「ほ、ほんと…どい、どいてくれ…!」
「サボ重い!どけよ!」
「なぁ〜〜、サボ〜エース〜アネモネ〜〜腹減った〜〜〜」
「仕方ねェな、飯作るか」


やっと退いてくれたサボにつられるようにしてルフィも退く。幾分か楽になったから大きく息を吸った。体への重みは無くなったものの、私の上にはまだ、エースがいる。あ、なんか、これ、体制ちょっと、いやらしいんじゃないだろうか!そう頭が理解すると顔が燃えるように熱くなった。じぃ、と見てくるエースに私はとっととどけ!とお腹にパンチをかました。







「あ〜、なんだ、たまにはいいなァこういうのも」
「おれはいっつもアネモネとこうやって遊んでるけどな! いーだろ!」
「いっつもじゃないじゃん。ルフィそうやって見栄張るのやめた方がいいよ」
「お前今日ルフィに当たり強すぎないか?」
「………」
「アネモネあれだろ、サンジから聞いた! つんでれ、ってやつなんだろ? なかなか素直になれないってやつ!」
「っぶは! アネモネがツンデレ?! ぶっ、くくく…」
「何で笑ってんのエース! サボも! ねえ! 何なのちょっともう!」


サボの作ったお昼ご飯を4人で食べる。こうやって4人で一緒になって何かをするってこと自体が本当に久しぶりで、多分きっと、お泊まりのとき以来なんじゃないかな。今日はエースともなんのわだかまりもなく話せるし、サボもルフィも楽しそうにしてる。もうそれだけで私は幸せかなあ。


「なあこのあとどうすんだー?」
「そうだな、1日中あれやってるってなると飽きてくるしな」
「ん〜特に何も考えてなかったや。外に出れればいいんだけどね。お金ないからなあ」
「適当にぐだってりゃ時間過ぎるだろ」
「そうだアネモネ! おめー今日泊まっていけよ! な! そうしようぜ!」
「えっ、今日は…、いいよ」
「なんだよ! またエンリョしてんのか?!」
「してないって! 今日はほんとに大丈夫!」


むすーっと頬を膨らますルフィの頬を引っ張る。向かいに座ってる兄2人は困ったように笑う。遠慮してるわけじゃないんだ、ただ、今日は本当にいいの。この間泊まったときはそりゃもう地獄みたいに嫌だったから、今日泊まればきっと凄い楽しいんだろうけど。いいんだ、今日は。

そんなことをルフィに伝えたとしてもきっと理解してくれないだろうから、さてどうしたものかと考える。助けを求めようと兄2人に目線を送っても困ったように笑うだけだった。


「ルフィ、今日は諦めろ。また今度呼べばいいじゃねェか」
「いやだ! 今日がいい!」
「私別に逃げたりしないのに…」
「あー仕方ないな… 甘いもん買ってやるから今日はな、勘弁しような」
「ほんとかよ〜〜〜?! いっぱいな! いっぱいな!」


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