4話(3/3)

「……何だよその反応」
「あっ、いや、別に………」
「言いてェことあるなら言えば?」
「……な、い…デス」


ひたすら怖い。何でこんなに威嚇してくるのこの人は!私のこの異常な態度が気に食わないってのもあるかもしれない、いやむしろそれしかないんだろうけど!それにしてもやっぱり怖いよ。

サボがすぐさま私を家へと連れて行ったから残されたルフィとエースのことは知らないけど、エースのとんでもない怒鳴り声が聞こえたのだけは一生かかっても忘れられない。流石にルフィ可哀想だなと思ったよ私は、うん。


「アネモネ、今日の飯なんだけど出前でいいか?」
「え、いいよそんな、私の分はいいから3人でちゃんと食べな」
「んーそんなこと言われても、おばさんによろしくって言われたからちゃんと面倒みてやらなくちゃいけねェし」
「ねェ私そんなお子ちゃまじゃないんですけど?」


クスリと笑いながら言うサボをギロリと睨みつける。私をなんだと思ってる。自立精神くらいあるわコンチクショー!それよりもルフィの面倒を見なさいアンタらは。ルフィの教育がちゃんとなってないからあんなことが起こるんだよ全くもう!


「サボ、おれ部屋戻るわ」
「ん? おう、分かった」


突然エースは立ち上がりそのまま自分の部屋へと上がっていってしまった。何を考えているのかさっぱり分からない。


「…私、やっぱり帰ろうかなァ」
「何でだよ? エースのこと気にしてんのか?」
「だって、あんなあからさまに嫌そうな態度取られたら……」
「あァ、いやあれは気にすんな。多分アイツ…」


サボが言いかけたところで、エースの部屋からとんでもない金切り声が響き渡った。ドタバタと階段を駆け降りる音がして、ヒールを履いてきていたのだろか、カッカッと音を響かせて出て行った。

突然のことに目をぱちくりさせると、ふわあとデカいあくびをしたエースがやってきた。サボの方へと視線を送るとクスクス笑っていた。


「あれっ、エース部屋にいた女追い出したのかよー?」
「おー、邪魔だろ」
「それは知らねェけどおれはあの女の匂い嫌いだな!なんか、鼻に来る!」
「ふはっ、エースお前わざわざ追い出さなくても良かったじゃねェか」
「…っせーな」
「ぶっ、くくく……殴られたろ?右頬すげえ腫れてる」
「うわっ、本当だ!エース殴られたのか!ひゃー!」
「おいうるせェぞお前ら!」


ボリボリと頭をかきながらまた私の隣へドカッと座るエース。3人の会話についていけず、ただただ3人の顔を見ているとエースがチラリとこっちを見た。


「…ま、ゆっくりしてけよ」


そういうエースだけど、ゆっくりしていられるわけがない。今の今まで女を連れてた意味がわからないし、もしかしてその女の人ってさっきの女の人だったのだろうか?!女の人を追い出すときどうやって追い出したのか。私の名前でも出したのだろうか。まさかエースに限ってそんなことは言わないと思う(私が呼び出しされてるのを知ったわけだし)けど私にとばっちりがこないかどうかがすごい不安で仕方ない。

それよりも、さっきサボに呼ばれてたルフィは何をしていたのだろうか?聞いてみようとした瞬間に、キッチンの方から物凄い爆発音が聞こえた。


「?! おいルフィお前何したんだ!」
「何もしてねェよ!サボに言われたとおり鍋にワニ入れただけだ!」
「ワニ入れろって言ってねーよ!おれは卵入れておけって言ったじゃねーか!!」


言った!言ってない!の言い争いを続けるルフィとサボにため息が出る。私、3週間もこの家でやっていける気がしない。こっそり自分のお家に帰りたい。いやむしろお父さんとお母さん仕事を早めに切り上げてきてください。娘の危機です。


「…アネモネ」
「ん? どうしたのエース」
「…………なんでもねェ」


不意に名前をエースに呼ばれた。それだけで私の心臓は大きく跳ねる。アホな2人のおかげで緊張も解れた私は、前みたいになんの気兼ねもなくエースと目を合わせることが出来た。

ただ、エースはほんの少し寂しそうな顔をしていた。私は首をかしげた。何か言いたいことがあるんじゃないのだろうか。聞いてみようと口を開こうとしたら、エースは私の腰をぐいっと自分の方へと引き寄せて抱きしめるとまではいかないけど、自分の身を私へとあずけていた。


ど、どんな状況なのだろか。突然のことに戸惑いが隠せないし、アホ2人はいつまで経っても言い合いしてるし。エースはよく分かんないし!ねえ、お父さんお母さん。やっぱり私やっていける気がしないから早く帰ってきてよ。すっごい気まずいよ!


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