4話(2/3)

あれから2時間後。私は肉じゃがを持ちながら自分の家の玄関先に座り込んでいた。靴は履いてある。荷物だって軽く準備してある。あとは立ち上がって隣の家に行くだけ。

たったそれだけなのにどうしても立ち上がれない。腰が重すぎる。行きたくない、行きたくない!

シャンクスの所に行く!と言ったあの後、両親からの凄まじい怒号をくらった。酷すぎやしないか、いやまあそりゃあシャンクス一見ぷーたろうにしか見えないけど実はアイツすごいヤツなんだって私は思ってる。絶対シャンクスにお世話になった方が良かった。それなのに、あの2人はもう!頭固いんだから!何が危ないって言うのさ!


うーんうーんと頭を抱えていると勢いよく玄関が開いた。驚いた私は持っていた肉じゃがをひっくり返してしまい、見事足に直撃した。し、死ぬほど熱い!これやけどしたでしょ間違いなく!!


「おい何やってんだアネモネ!おせーぞ!」
「うっ、る、るひ…!ばか!ほんとばか!死んで!嫌い!ばか!」
「あ!?いきなりなんだよ!! …ってうわあーー!おばちゃんの肉じゃが!おいアネモネ!なんだよこれ!誰がやったんだ!」
「お前だよーーッッ!!!!!!」


勢いよく玄関を開けたのはルフィだった。この野郎、ふざけやがって!いつもいつもこうだよ!本能の赴くままに行動するこのアホ!もうやだ!肉じゃがかぶったせいで足痛いし熱いしもう涙止まらないし、ルフィは私よりも肉じゃがの方を心配してるし!もうばか!ほんとばか!

空になった鍋を思い切りルフィに投げたけど、軽々しくよけられた。ムカつく!

ぐすぐす泣いてたからルフィのことなんて全然気に留めていなかったけど、だいぶオロオロしてたみたいで、気が付いたらサボとエースも玄関先まで来ていた。







「アネモネ〜〜ごめんな、わざとじゃねェんだ」
「……」
「アネモネ〜〜〜〜〜!」
「あーもう分かったからくっつかないでよ…もう怒ってないから………」


あのあとサボに抱えられて家まで連れてこられて手当をしてもらった。エースは肉じゃがの残骸を処理してくれたらしい。ルフィはただただオロオロしてて私の家と自分の家をひたすら行き来してたらしい。ほんとにアホ。

ルフィも悪気があったわけじゃないってわかってるから怒るに怒れない。ていうかいつもルフィは悪気なんてない。だから怒るに怒れない。もうなんなの結局怒れないじゃん!

腰にしがみついてくるルフィをぼこすか叩いてみるけど全く効果なし。重いんだよ地味に!もう!


「おーいルフィ、ちょっと手貸してくれ」
「ほらサボが呼んでるよ!早く行った行った!」


そういうとルフィは何か言いたげな顔をしながらも私から離れトボトボとサボの方へと向かった。なんだあれ、どんだけ気にしてるんだ…。


「アネモネ」
「ッ! え、エース…?」
「足はどうだ? まだ痛むか?」
「……い、や、まあ…大丈夫かな。肉じゃがちょっと冷めてきてたみたいだったし」


はは、と笑ってみせると眉間にグッとシワを寄せた。う、怒ってる…。いきなり声をかけられたものの、やっぱりどんな顔をしたらいいのかわからない。この間のことといい、今日のことといい、もう何だか色々いっぱいいっぱいなんだよ。

するりとエースの横を抜けてソファに座ると、エースも私の隣へとドカッと座ってきた。思わずひい!と声を上げてしまう。


TOP

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -