3話(2/3)

けど、いつまで待っても頬に痛みはこなくて。おかしいなと思ってたら取り巻きの女の子達がどよめいていて何かと思って目を恐る恐る開けると、私に振り上げていた手がエースによって阻まれていた。

え、なんでここにエースが?私も驚いて目を見開いたけどそれ以上に女の子の方が驚いていて今にも泣きそうな顔をしていた。震える声で「違う、違うんです…」って言ってるけどエースはそんなの聞いてるようには見えなかった。


「………おれ、あんまこうやってゴタゴタしてンの好きじゃねェんだよな」
「……あ、…ッ、あ…………!」
「こういうことする女、何かダセェし、嫌いだわ」


その言葉で、女の子達はみんなバタバタと走り去って行った。私のことを叩こうとしてた女の子、すっごい泣いてた。何だか逆に可哀想に思えてきちゃった。

…なんだか、すごい視線を感じる。エースしかいないとは分かってるけど。なんか、なんか、すっごい気まずい。いや私悪くないけど、悪くないけど!こういうときに本人達が出てくるの初めてだからどんな顔をしたらいいか…!ああなんでエースなの!ルフィだったら良かったのに。


「よくあることなのか?」
「え?…あ、あー……ま、まあ…そこそこ…かな」
「ふーん…」


エースの顔が見れない。怒る、なんてそれはないだろうけど、声が凄い不機嫌。咄嗟に俯いたもんだから顔をあげられない。か、帰りたい。ペローナが、私を待ってるんだ…!

チラリとエースの方を見てみるとバチイ!と目が合った。(あれなんかデジャヴ?)も、もう何?怖い!目の奥からブワッと熱いモノが込み上げてきて、今瞬きしたら多分大変なことになると思う。


「あっ、あは、……あり、がとね!」
「別に」
「………」
「…めんどくせェから関わンなよ」
「へ?」


思いがけない言葉に顔を上げるとエースはスタスタと歩いて行ってしまった。…今の、どういう意味?関わるな、って…やっぱ、私邪魔だっていうことなのかな?唐突すぎて思考が全然ついていかない。目を瞑ると、何かがこぼれ落ちたような気がした。


「関わるな、なんて……やだよ………」


ペローナが私のことを待ってる(待ってない)けど、もうそれどころじゃなかった。エースの言葉が、とても辛くて、目から溢れ出てくる涙を止めることが出来なかった。

どんどん、エースと距離が遠くなる。いつもいつも、私のせいで、遠くなる。







どれくらいの時間が経ったのだろう。あのまま帰るに帰れなくて、近くの公園にずっと居座ってた。もうすっかり外は暗い。お腹も空いてきたし、帰ろう。確か今日の晩ご飯はハンバーグだってお母さんが言ってた気がする。

エースとのことは、また明日考えよう。だって、サボとルフィとはきっとこれからも付き合っていくだろうから、エースだけとは関わらないだなんて、きっと無理。それじゃなくても、私がエースへの気持ちを抑えきれなくなる。好きなのに、エースのこと好きなのに。辛いなあ。


「ねー、グランドライン高校の子っしょ?」
「…はい?」
「ほらやっぱそうだ。キミアネモネチャンでしょ?」


な、な、な、なんですかあなた達〜?!
いかにもチンピラって感じの男性だな!腰パンしすぎでしょそういうの流行らないから本当やめたほうがいいってマジで!え、ていうかなんで私の名前知って…?


「噂通り可愛い顔してんじゃん」
「今暇?ちょっとご飯でもどう?」
「え、いいです…家に帰ったらご飯ありますし…」
「えー!そんなつれないこと言わないでよ〜いいじゃんご飯!行こ!奢ってあげる!」
「いやほんといいんで…大丈夫です」
「もしかしておれたちのこと怪しんでる〜?いやいや大丈夫だよ怖くないから」
「平気平気!ほら行こうよアネモネチャン」


し、しつこい!もうなんなのしつこすぎる!私の名前知ってる時点で最高に意味わからないし最高に怪しいから!頼む帰らせてくれ今日の晩ご飯はハンバーグなの!お母さんのハンバーグ天下一品なの!どこぞのファミレスよりもすっごい美味しいの!だから帰らせてくれ!


「母が待ってるので…あの、失礼します」
「おーっと、何で帰ろうとするのさ?いいじゃん行こうってば」
「は?!ちょ、離して…!」


男達の間を通り抜けようとしたらグイッと腕を掴まれ引き寄せられてしまう。う、やだやだやだ無理無理無理!男達から香る甘ったるい匂いがとても強くて頭がクラクラする。いくらもがいても離してもらえなくて焦りを感じ始める。


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