物資調達のために久々に縄張りの島に立ち寄った。秋島の秋らしい。辺りがみんなオレンジに染まってる。ここに立ち寄るのも久しぶりだなァ。おれは少し胸が踊った。ここの飯、すげェ美味いンだよな。考えただけでヨダレが出てくる。

「エース、食材はサッチに任せてあるからお前は備品調達してこい」
「ん?おう。トイレットペーパー多めの方がいいよな。確かイゾウのやつここんとこずっと腹下してたし」
「そうだねい。あ、あと例のヤツも買っておいてくれよい。サッチのやつ今日全部使うだの何だの言ってたからねい…」
「ゲェ、アイツまた娼館行くのかよ?こないだの島でもあいつ朝まで帰ってこねェこと何日も続いたじゃねェか」

またおれがゴム買わなくちゃいけねェのか。サッチのやつ、食材買うついでに自分で買えよな、全く。マルコから必要な分だけの金を受け取っておれはモビーから飛び降りた。おれもあとで娼館行こうか迷うなァ。

「ッあ、マルコ!」
「なんだよい?」
「ここ、ログどれくらいで溜まるんだ?」
「あー…確か2週間くらいだった気がするよい」

2週間か、結構長ェな。ここは特別変な海賊が来るわけでもねェし、むしろ安全な所だ。だけどまあ、そんなところで2週間も何もしねェでぼけーっとしてたら平和ボケしそうだな。おれはマルコに手を上げその場を後にした。よし、明日あたりにでも娼館行こう。


買い物もある程度済ませたおれは近くのベンチに腰をかける。トイレットペーパーも多めに買ったし、他の頼まれてた備品も買った。何かすげェ大切なものを買い忘れてるような気がするが、きっとそれも気のせいだ。一応ゴムはちゃんと買っておいた。

「…しかし、ここは落ち着くな」

腰掛けて町並みををよく見てから再度認識する。秋島の秋って、秋の中の秋ってことだろ?そりゃァすげーよな。辺り一面がオレンジだし、ちらほら花も咲いてる。大男が花見て憂いを帯びるだなんて、おれは乙女か。そんなガラじゃねェ!

自嘲気味に笑って、さて船に戻るか!そう思い思い腰をあげた時だった。隣に、気配がする。さっきまで誰もいなかったはずなのに。

「……」
「…?! …………?」

勢いよく振り向くと、そこには淡いオレンジの髪色の女がそこには座っていた。あ、足音一つ立てねェで、いつからおれの隣に。

「……ここの、島の人間か?」
「……」
「…おーい」
「……」

コイツ聞こえてンのか!?何度声を掛けても顔を覗き込んでも何一つ反応を示さない。…なんなんだこの女。

「くだらねェ」

反応も示さねェんならこんなこと時間の無駄だ。今頃モビーではイゾウが腹の痛みでのたうち回ってるに違いねェ。一回のクソでロール半分は使うから、早く戻らねェとトイレットペーパーが切れちまう。

おれは大量の荷物を持ってその場から離れた。それでも何だか、あの女が気になってしょうがなくて何となく後ろを振り返ってみたら、アイツはじぃ、とおれの方を見ていた。なんだよ、不気味なやつ。おれは声をかけずにそのまま去った。

去り際、何だかとても懐かしい匂いがした。どっかで嗅いだことのある匂いだった。どこで、嗅いだンだっけ?


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