「え…っ、と、レナード牧師…?」
「そこを退いてくれるとありがたいんだが、リンクくん」
「いや、言ってる意味が全く理解できないッス」

いつだったか、イリアが言っていた「嫌な予感がする」という言葉を思い出す。女のカンっていうのはどうやら本当らしい。俺を押しのけて部屋へと入ってこようとするレナード牧師を食い止める。睨みつけても、全く俺のことを見ようとしない。その視線はnameへと絶え間なく注がれている。横目でnameの様子を確認してみると、nameもレナード牧師を鋭く睨みつけている。

「訳も聞かずにnameを連れてなんていかせられないッス」
「……リンクくん、知らないとは言わせないよ?」
「何がッスか」
「…あの娘さんが、殺戮兵器だということを、キミは知っているはずだ」

全身から血の気が引いていくのを感じた。そのことを知っているのは俺と、イリア、シャッド、コリン、村長、テルマさん。俺らだけなのに、どうして。何でレナード牧師がそのことを知っている?nameから視線を外したレナード牧師。見透かすような、その目で俺を見る。蛇に睨まれた蛙。俺は視線がそらせなかった。

「…その沈黙、私はそれを肯定として受け取ってもいいようだね」
「…………連れてなんて、いかせません」
「どうしてだい? キミはこの娘さんが何をしてきたか知っているはずだ」
「知ってます、けど…それは全部、昔の、ことで……今は…」
「違うとでも? そう断言なんてしきれないだろう」
「断言できます。nameは、昔とは違う。誰かを殺したりなんてしない」
「………キミは、本当の恐ろしさを分かっていない。」

顔を歪ませるレナード牧師。何か考えのことがあってのとこなんだとは思う。でも、nameが違うのは確かなんだ。連れてなんていかせない。

「あまり手荒な真似はしたくないのだが、」ポツリと呟いたレナード牧師に俺はうまく聞き取れず聞き返そうとした瞬間に目の前が歪んだ。遠のく意識の中、nameが俺を呼ぶ声がした。







俺を呼ぶ声がする。

…俺、どうしたんだっけ。nameと一緒にいて…それで…ああ、レナード牧師が……。

あ、name。nameはどうなったんだっけ。

うう、誰だよさっきから俺のこと叩いてるのは…………ウッ!

「いつまで寝てるのリンク!起きて!!」
「って!」

ぼんやりとしていた意識がハッキリとしていく。イリアからの強烈な1発で。何するんだと言ってやろうと思ったらイリアの目には大粒の涙が溜まっていて、俺は声を飲んだ。

「イ、イリア、どうしたんだよ」
「どうしたじゃないわよ…!nameが…!nameが…ッ!」
「っ、nameがどうしたって?!」
「レナード牧師が…、nameを…! 処理、するって…!!」
「ッ?!!?!?」

思いもよらない言葉に俺は言葉を無くす。「どうしてしっかりnameのこと見ていなかったの」と泣きながらいうイリアに返す言葉が見つからない。

俺が悪い。何もしてこないだろう、と気を緩めていた俺が悪い。name、ごめん。俺が悪かったんだ。ごめんな、今から行くから。助けに行くから。俺、まだnameに教えてないことたくさんあるんだ。殺させなんてしない。俺が絶対助けるから。俺がnameを守るから。待ってくれ。

イリアと一緒にカカリコ村まで向かうことにした俺はエポナを呼んだ。エポナへ跨って向かおうとしたら、カカリコ村とは反対方向へと走り出していた。吃驚して止めようとしたけどエポナは言うことを聞いてくれなかった。エポナは何を知っている?俺はそのままエポナの走る方へと向かった。俺の愛馬は意味もない行動はしない。


待ってて、name。
俺が助けに行くから、待っててくれ。
連行

TOP

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -