ハイヒールとやらを買ってみた。

普段はペタンコの靴しか履かないから、ほんの少し背伸びをしてハイヒールとやらを買ってみた。
ゼルダに見せてみたら可愛い!と言ってくれたけど、実際履いてみたらこんなので長時間歩けるわけないと言われてしまった。

根気がないなあと思って私も履いてみたけど何あの足に負担がかかりまる靴。あれ最早靴なの?痛すぎる!

2人して苦戦してるところにリンクが現れた。変な歩き方をしたりうめき声をあげてる私たちを見て気になってこっちに来たという。

ハイヒールを履いてリンクの隣に並んだら、リンクの背を越していた。それがもう嬉しくて嬉しくて、私はハイヒールと戦うことを決めた。ゼルダにはバカねえ、と笑われた。


でも、こんな靴でフィローネやオルディン、ラネールには行けるわけがなくて。スカイロフトだけで使うことになった。きっと私の修行が足りないんだと思うきっとそう。


「name〜、まだその靴履いてるの?」
「そうよ、私はこの靴に勝つって決めたんだから!」
「足痛めちゃうよ」
「もう痛めてる!いーの!」


コツコツと音を鳴らしながら歩く私の後ろをあくびをしながらリンクがついてくる。暇してるなら空飛んでればいいのに。

ハイヒールを履き始めて1週間は経つけど、もうすごい履きなれたんだぜ、私。ゼルダにもすごい!って褒められたんだぜ。へへ。

立ち止まって振り返ると私に合わせて立ち止まったリンクがどうしたの?とでも言いたそうに小首をかしげている。ああ、えへへ、リンクよりも高い。ちょこっとリンクが上目遣いになってる。へへ、可愛いなあ。


「足痛くなったの?」
「ううん、違う」
「じゃあどうしたのさ?」
「へへ、なんでもなーい」


やっぱり、リンクをほんの少しだけ見下ろせるの、すごい、イイ。鼻歌でも歌いたくなっちゃう。女神の詩のフレーズはなんだっかな、ふーん、ふふふーん、…。

スキップもどきで歩いてたら、足がカクッとよろけて。しまった、と思った時にはもう遅くて。私は派手に転んでしまった。や、や、やっちまった。後ろにいるリンクもきっとビックリしてるに違いない。それよりもとんだ醜態を晒してしまっている。後ろが振り向けない、恥ずかしい!


「なんだよ、やっぱり足痛かったんじゃないか」
「ち、ちが」
「痛いの我慢して無理して歩くから。だから転ぶんだよバカだなあ」
「うう、」


痛くはないんだよ、足は。膝が擦れちゃって、それが痛いだけだよ。血が出てる〜、痛いなあ。

リンクは私の横にきてグッ、と私の肩を担ぐ。そのまま上体を起こされた私はリンクに寄りかかりながら歩いて、そのまま近くにあったベンチへと座らされた。


「もう、何がしたいんだかわからないけど、転ぶからもうこれ履かないで」
「えっ、ええ〜、やだよそれは」
「ダメ、もう履かせない」
「リンクには関係ないよ」
「ある。nameに怪我されたら困る」


不意にも、ちょっときゅん、ってしたり。
でも、そんなトキメキもすぐにぶっ飛んだ。

私を座らせてから、目の前にしゃがんで何をするのかと思ったらおもむろに私の足を掴んでハイヒールのヒールの部分をぼきっ、と折った。

急すぎて、固まってしまった私はリンクに文句の1つすら言えなかった。なにしてんのあんた!
そう思ったときにはヒールは2本とも折られていて、ハッとしてリンクを見たらやりきったぜみたいな顔をしてて実に蹴り飛ばしたくなった。


あのねリンク、これ2000ルピーするの。



ハイヒール

(ハイヒール履いたname、俺よりもほんの少しだけ高いのがちょっと悔しかった)
(やっぱり僕は小さいnameの方が好きだなあ)


2015.09.05

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