それはとても衝撃を受けたものだった。

長いようで短い旅が終わり、久しぶりにスカイロフトに帰ってきたときのことだった。僕の幼馴染が記憶喪失になったというのだ。いや、自分の名前も分かるし、この場所のこと、住んでる人達のこと、大地のこと、そういうことは覚えている。あれだ、訂正しよう。僕との記憶だけ、失くしてしまったらしい。

物資調達のためにスカイロフトに帰ってきて、久しぶりに幼馴染のnameに顔を出そうと思ったんだ。nameのロフトバードが困ったような顔をしていたのをよく覚えてる。僕はいつもみたいにnameの長い髪を引っ張った。そしたらもうすっごい怖い顔でこう言ったんだ。


「あんた誰」


もうほんと、どうしたらいいのかわからなかった。なんの冗談かと思ってとりあえず髪の毛を引っ張ったことは謝ったんだけどそれでも眉間のしわを寄せるのをやめないで、nameは素早くロフトバードにまたがって空へと飛んでいった。


拍子抜けした。



放心してた僕をバドが見つけて僕とバドは近くのベンチに座った。なんでも、俺が旅を終わらせてゼルダと大地で暮らしてたとき、俺たちに会いに来ようと一度大地へ降りようとしたらしい。その時に運悪く竜巻に巻き込まれてそのまま落ちていったらしい。

落ちた場所がスカイロフトだったのが不幸中の幸いだったのか、すぐに助け出すことは出来たんだけど、しばらく目を覚ますことはなかったらしい。目を覚ましたのもつい最近らしくて。色々nameのことを調べたらしいけどどうも僕に関する記憶だけ失くしてしまったらしく。


本当に意味が分からない。都合良すぎなんじゃないのか。いや仕方ないことだって分かってるけどあまりにも理不尽すぎて僕もうどうしたらいいか分からないんだよ。


「バドー!」


なんとも言い表せない気持ちを抱えたまま、前方からバドを呼びながら駆け寄ってくるnameの姿が見えた。nameは俺を見るなり、あっさっきの変な奴だみたいな目を向けながら絶妙な距離をとりバドと話をしている。

辛い、ただ単に辛い。
久しぶりに会いにきた幼馴染が僕のことを忘れてるってどういうことだよ。楽しそうに話しをする2人を見てる(バドはチラチラ僕の様子を伺ってるけど)と悲しさよりも腹ただしさが勝ってしまう。僕が一体!一体何をしたっていうんだ。


気が付けば僕は立ち上がりnameの肩を掴んでいた。慌てるバドに、困惑するname。

ああもういいやどうにでもなればいい。


「僕のこと忘れたままこれから先、生きてなんていかせないから」


何を言ってるんだコイツとでも言いたそうな表情をするnameに僕は無理矢理唇を押し付けた。みるみるうちに赤くなるnameの顔を見てほんの少しだけほくそ笑む。


見てろよ、何がなんでも思い出させてやる。



それは晴れたある日のことです

(なっ、何すんのいきなり!!)
(僕のこと忘れるnameが悪いんだからな!)
(何よ!何よ何よ!忘れるも何も私はあんたのことなんてこれっぽっちも知らないんだからー!)
(うるさいバカ勝手に言ってろ!絶対思い出させて謝らせてやるんだからな!)
(お前ら勝手にやってろよもう…)


2015.07.27

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