おかしい。

何がおかしいかって?いやそれは話すと長くなるから言わないけど簡潔に行けば帰ってくるのが遅いっていうか。コトの発端は私な訳なんだけど!

いやちょっと聞いてよ!まあそりゃ確かにね?バレンタインだし女の子からチョコレートは貰いたいと思うのよ、ね?そりゃ男の子なんだしさ。まあ他の女の子からもらえるから今年は別にいっかなーって思って今年は作らなかったわけなんですよ、はい。本当のこと言うと作るのがめんどくさかったっていうかなんていうか……あ、これリンクにはヒミツね?きっと怒るから。

ああそう、それで今年は作らなかったんだけどそれがいけなかったみたいでさ。両手に抱えきれないほどのチョコレートをもらってきたリンク(しかもマロンちゃんからのキスマークをほっぺにつけてる)が緩みに緩みきった顔で僕へのチョコレートは?って聞いてくるからああいや沢山もらってくるだろうからいらないかなって思って作ってないって言ったらこの世の終わりみたいな顔して両手に抱えてたチョコレートボトボト落としていってああ勿体無い!って思って拾ってあげたんだけど微動だにもしないわけよ、リンクくんは。拾いきってリンクの顔覗き込めば本当なんか怒ってるのか泣きそうなのかよくわからない顔して何も言わずに出て行っちゃったわけなのよ。そう。

いやもう私どうしたらいいかわからなくって本当どうしたら良いのかなって!とりあえず私が渡さなかったことに対して怒ってるんだろうなって思ったから作ったわけよ!ちゃんとね!そう!

でもリンクったらいつまで経っても帰ってこなくてもう帰ってこなくて1週間も経つのよ?もうそれこそ私どうしたらいいのかもわからないしどっかでのたれ死んでたら私どうにかなっちゃう!

大体チョコレート欲しかったならなんで僕の分はないんだよって怒鳴り散らせばよかったし泣き喚いてもらったほうがよかったのに!どうして勝手に何も言わずにいなくなるのかしら!


……ああ、でもリンク、キミがいないとすっごいさみしいよ、早く帰ってきてよ。

キミのために作ったチョコレート、長持ちするわけじゃないの、早く帰ってこないと食べれなくなっちゃうよ、もう、早く帰ってきてよ。


「バカリンク……」
「誰がバカなの?」


聞き覚えのある声に肩が跳ねた。リンクだ!

私言いたいことたくさんあるんだからね!勝手にいなくなるしどうしたらいいのか本当に困ったんだから!このバカリンク!チョコレートも食べれなくなるところだったんだから!


「どこいってたのリンク」
「ちょっとね」
「ねえずっと待ってたの私」
「nameが待ってると思って帰ってきたわけじゃないよ僕は」


待って何を言ってるの?私のことは眼中にもないって?じゃあなんで帰ってきたっていうのよ!

私がチョコレート作らなかったからそれに対して怒ってしばらく口きいてやらねー!みたいな理由で私の前から姿をくらましたんじゃなかったの!


「みんなからもらったチョコレートが気になったから帰ってきた」


おったまげですよ何その理由!

そう言い放てば私が丁寧に拾ってまとめておいたチョコレートをサッと持っていけばまた家から出て行った。

え?待ってよ本当にそんな理由なの?え?冗談きついよリンクくん。私どうしたらいいの。え?待って私の作ったチョコレートどうするのリンク。目もくれてくれなかった。ねえ、どうしたらいいのリンク。なんでそうやってまたいなくなっちゃうの?


「り、り、リンクの、リンクのばかー!!!」


叫んだら目からポロポロ涙が溢れてきたよ。はあなんてこったい!こんなつもりじゃなかったのに。







ガタン。やばいあのまま寝てた!飛び起きた私は窓の外を覗いてみるともう外は真っ暗。家の中には誰の気配もしないしやっぱりリンクは帰ってきてないみたい。

はーあ、何でこんなことになっちゃったのよ本当に。


「起きた?name」
「?!」


誰もいないと思ってたらいつの間にか隣にリンクがいて驚いた私は椅子から勢いよく立ち上がった。何をそんなに驚いてるの?とでも言いたそうにリンクは小首を傾げながら私を見つめる。いや待って何でいるのていうか隣にいたのに気付かない私も私でしょ。


「ドアの鍵空いてるし不用心だよ。僕が昼帰ってきたときもそうだったけどもっと危機感持って」
「ご、ごめんなさい…」
「はいじゃあname椅子に座って僕の方見て」
「?」


何で私が怒られなくちゃいけなかったのかさっぱり分からなかったけどリンクの言う通りに椅子に座ってリンクへと向き直った。

あ、久々のリンクだからすごいドキドキする。やだなにこ「ぐふぅッ

……え、やだなに苦い何これ」
「……僕からの、バレンタイン」
「え?」


向き直ってドキドキしてたらムードも何もない。いきなり口の中に何かを押し込まれたと思ったらちょっぴり苦くてやだなにこれ。

ほんの少し耳を赤くしてリンクはポツリと言った。え?バレンタイン?


「え、ねえ、なんで?」
「いやnameから無いよって言われたときなに言ってんだこのどブスって思ったけどいつも僕がもらってばかりだからそれが嫌だったのかなって」
「で?」
「作ってき、まし、タ」


思い切り口を滑らせたことには敢えて触れないでおくけどリンクもリンクなりに考えてくれてたんだなって思ったらすごい嬉しくってニヤニヤしちゃった。

何ニヤニヤしてんのどブスって言われたから引っ叩こうとしたけどその手も虚しくリンクに取られ手は出せなくなった。足は出せるけど。


「……ありがと、リンク」
「いーえ」
「あの!私も、あのあと作って、チョコレート…」
「うんnameが寝てた間ちゃんと食べたよ」
「本当に!」
「うん。すっごく美味しかった。ありがとね、name」


ふんわり微笑んだリンクを見てああ整った綺麗な顔だなって見惚れてたら取られた手をグイッと引き寄せられてすっぽりとリンクの腕の中に収まる。


「ふふ、おかえり」
「ただいま。寂しかったでしょ、ごめんね」



ほろ苦い

(どこに行ってチョコレート作ってたの?)
(マロンのとこ)
(は?)
(ん、や、だからマロンのとこで…)
(1週間も?他の女のところで?)
(いや、別にやましいことは)
(ふざけんなこの天然たらしくたばれ!)

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このあとヒロイン1週間帰ってきません。


2015.02.21

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