ちくちくちく。ちくちく。どき!

さっきから僕の心臓が忙しないんだ。それはもうずっと前から続いてる。城下町で会ったnameのことを考えると、胸がどきどきするんだ。他の誰かと話をしているととてもちくちくするし。一体僕は何の病気にかかってしまったのだろうか!ナビィに相談するわけにもいかないしはあ困ったなあとても難しいや。


「あらリンク、奇遇ね!こんなところで会うなんて」


ああ、nameだ。今日は何だかいつもと雰囲気が違う。髪の毛を下ろしていて、いつもは長いズボンを履いてるのに今日はスカートだ。


「やあname。今日はどうしたの?とても可愛いね」
「やだ!そんなこと言わないで照れちゃうわ」


ほんのりピンクに染まった頬に手をつきながらふんわりと笑う彼女を見ていると胸がまたどきどきと脈を打つ。顔が熱くなってきた。こんな気持ち、今まで一度もなかったのに!なんだっていうんだろう。


「今日はお父さんのお誕生日なの、だからおめかししてお祝いするのよ!」
「そうなんだ、おめでとうって伝えておいてくれよ」
「ええ、ありがとうリンク」


お父さんの誕生日か、そうか。僕は日頃お世話になってるnameのお父さんに何かしてあげられることはないかと思ってポーチの中をごそごそと漁ってみた。そういやこの間森で拾った花の種があったな、それをあげよう。気がつくとnameが「じゃあ私急がなくっちゃ!」だなんて言って歩き出そうとしていたから僕は慌てて引き止めた。


「ま、待って!これ、お父さんにお誕生日のプレゼントで渡して」
「これはなあに?」
「花の種だよ。とっても綺麗な花なんだ」


nameの手を取って花を手渡す。こんな動作だけに心臓がもう破裂しそうになる。ドキドキする。


「嬉しい、お父さんもきっと喜ぶと思うわ!ありがとうリンク!」


そう満面の笑みで笑ってみせたnameはぎゅっと僕に抱きついた。突然の出来事に僕は頭が回らず、ただただ驚いて固まってしまった。

僕今、nameに抱きしめられているの?


「でもお父さんにお花の種だなんてずるいわ。リンク、私の誕生日にもお花の種ちょうだいね!お父さんのこの花の種よりもうんと綺麗なお花が咲く種!」


耳元で甘いソプラノでいうname。全身が震えあがりそうだ!なんて声をしてるんだろう、サリアの歌声よりもとても好きだなあ。nameの声は。

でも、nameの誕生日に花の種だなんてあげるつもりはないよ、僕。


「nameの誕生日にはうんと綺麗な花束を持ってきてあげるから、待っててよ」


そういって笑って見せれば、nameもふふっ、と微笑んで「約束よ」と言った。ああ、どきどきするなあ。僕は君のその笑顔を見れただけで、不思議と嬉しくなるよ。



7年後の花束

君の誕生日に花束を渡すのが7年後になってしまったけど、怒らずにまたあの笑顔で微笑んでくれたら僕、嬉しくてたまらないんだけどなあ。


2015.01.10

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