長い長い眠りからハッ、と目が覚めたような感覚に陥った。
いや、実際長い長い眠りから目が覚めたのかもしれない。けれどもただ毎日繰り返す睡眠をしていただけなのかもしれない。
今日もまた一日が始まる。
いつもみたいに身支度をして、いつもみたいに空を飛んで、いつもみたいに広場を散歩する。
いつもと変わらない、いつもと同じ生活をする。
ただ、変わったというのなら、ここに住んでる人達からの視線を全く感じなくなってしまった。
まるで、私がここにいないかのように、最初からいなかったかのような錯覚に陥る。実際、いないのかもしれない。いなかったのかもしれない。ここのところみんなから声をかけられたりすることもしないし、家を尋ねられることすらない。みんながそんな感じだから私もみんなに声をかけることすらない。
何かしてしまったのだろうか。
そう思うけど、心当たりが何一つない。
いつもこんなことを考えるけど、対して気にしたりはしなくかった。気にすることもなくなった。ロフトバードを撫でる。ふわふわして、とても気持ちいい。ロフトバードも気持ち良さそうにしているけれど、どこか悲しそうな顔をしている。私の考えてることが分かるのかな?私は平気だから、そんな顔をしないでちょうだい。
ふと、視線が感じる。
視線を感じる方に目をやるとそこにはリンクが。
この世に存在しないようなものを見るような目で見てくる。失礼な。ズカズカとこっちに歩み寄ると頬に痛みを感じた。痛い、痛いじゃない、そんな思い切り叩かなくたっていいじゃない。ああ、とても痛い。
「なんでここにいるんだ」
突きつけられた一言。
逆になんなんだ。ここにいたらダメなのか?なぜ?
「ここにいたらいけないの?」
そう問い返したら、こんな返事が返ってきた。
「
キミ消えたんじゃなかったの?」
キミは空を飛んでいるときに竜巻に巻き込まれて大地に落ちていったんだ。
キミのロフトバードが危険をかえりみずにキミを助けに行ったんだけど、キミの落ちた場所が岩場で即死だったんだ。
キミの身体は神殿にある。見に行くかい?見にいったらキミは未練を残さないで消えてくれるかい?
頼むから、ここに住んでいるみんなのために、キのロフトバードのために、ぼくのためにも、今すぐ消えてくれないか。
(ああそうか、私はあのとき死んでしまったんだね)
(ああ、現実を突きつけられてしまった)
(もうここにいるわけにはいかないんだね)
(消えさせてもらうことにするよ)
こうでも言わなくちゃ、きみは消えてくれないことを僕は知ってる。
ずっとずっと、好きだったんだ。
だから僕のためにも、消えてくれ。
そうでもしてくれなくちゃ、キミのあとを追いかけそうになってしまうんだ。
2014.12.26
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