背中と背中をピッタリと合わせて座り合う。特に会話はしない。話すことだってないし。話す気分じゃないし。話するにしたってレッド相手じゃ会話にすらならない。

背中から感じる暖かい体温。こんな極寒地域にいるというのにどうしてこんなにレッドの体は暖かいのだろう。

体が暖かい人は心が冷たいとかっていう噂なら聞いたことあるけど。

レッドはそうじゃないなあ、と思う。


もし本当にそうだとしたらこうやって背中をピッタリと合わせて座ってたら絶対に離れろって言うし、急に押しかけてきたら絶対にリザードンに無理矢理乗せて下山させられるだろうし。

急に押しかけてきて文句一つ言わないし、いきなりこうやって背中合わせたって突き放したりしないし。

口下手なだけであってレッドは本当に凄く優しい人。

だから私はレッドのことがものすごく好き。


「…………ねぇ、」


沈黙を破ったのはレッドだった。いつもは自分からは必要時以外の時は滅多に口を開かないレッドから沈黙を破った。


「なに?」


返答した私の声は少しだけ震えていた。こんな寒いところにいるから声も震える。いくらレッドと一緒にいるって言ったって背中をくっつけているだけだ。寒いに決まっている。


「…………どうして、…俺のところに?」


1番聞いちゃいけないことを聞いてきやがったぞコイツ。畜生め。いや別にレッドじゃなくたって良かったんだよ。そう。別にグリーンとかでも良かったし。グリーンでも良かったんだよ。わざわざシロガネ山に来てまでレッドのところに来なくたって良かったんだよ。


泣き場所探しに疲れただけ


(彼女ができてしまったグリーンの所に行ったって困らせるだけでしょ?)
(小さく震える幼馴染の背中)
(みっともない所をグリーンに見られたくないもの)
(今すぐ強く強く抱きしめて俺が君を護ってやりたい)


2014.12.26

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