日番谷先遣隊が浦原商店に押し掛けて私のことを聞いて、浦原さんは全部正直に話す。何でそんなことを!とも責められるし今すぐ連れて帰る、とも言われるけどそもそもこうなったのも粗悪品をしっかり処分しなかったアタシの責任で、連れて帰っても記憶のない彼女は向こうでどうやって生きていくと?と、毛ほどの責任を感じてるから彼女の面倒はしっかり自分が見る、と。だからこれ以上彼女への接触はやめてください、と頭を下げる浦原さんに何も言えなくなる。

その話をこっそり聞いている私でもいいし、聞かずに浦原さんに面倒を見てもらう私でもいいし、なんでもいい。

何年も私を探してきた日番谷冬獅郎がいざ私を見つけた時に記憶まっさら何も無い私を目の当たりにしたときの絶望。
ガキの頃から何十年何百年と共に生きてきて、想いを寄せていた女が行方不明なって、幼馴染として、彼女の上司として自分の不甲斐なさに苦しめられてきた数年。そしてやっと見つけたというのに当の本人に記憶は何もなく、挙句の果てには拒絶される………。

私には現世での友人がいて、その人たちを切り捨てることなんでできない。いくら記換神機で現世の人達の記憶から私を消すことが出来たとしても私はそれを忘れることは出来ないし死神の記憶を取り戻したとしても行方不明だったこの数年、どん、どんな顔すれば…?
仮に浦原さんが私に全部を話して、アナタはどうしたいですか?と聞かれた時、そんなの、いくら考えたって答えなんか出せるわけがない。

冬獅郎としては浦原に記憶を元に戻す薬なりなんなりを作らせて今すぐにでも連れて帰りたいけど、浦原の言うこともまた一理あるから私にとっての最善が決められなくてそれはそれは大変苦しい思いをする。
だって私が記憶を取り戻したいとも限らないしそもそも今の生活で満足してるのにそんな過去の記憶を取り戻してどうするの?と。


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