俺は状況が飲み込めずにいた。

この女の子がギュスターに『話すことができたのね』と言ったことまではまだいいとして、そのあとどうしてこうなるんだ。



「特別」

「・・・へ?」

「特別だから」

「は?」

「あら、随分お熱なのね。」


いやいや言ってる意味が分かりません、分かりませんよお嬢さん!




―こうなる前に、少しこの女の子とギュスターと3人で話をしていた。






「話すことができるって・・・普通だろ?」

「そうかしら。それは貴方の見た一面よ、少なくともわたくしはギュスターさんのお声を聴いたことはありませんの。」

「声を聞いたことないって・・・今も一緒に飯食ってるのに?お嬢さんはこいつの友達じゃないの?」

「わたくしはあずかり知らぬこと、ギュスターさんにお尋ねになって。」

「ギュスター、」

「友達で、あってる」

「嬉しいわ。」

「・・・うんん?」



なんだか訳が分からなくなってきた。友達なのに喋らないってどういうことだ?なんで俺には話すんだ?さっきから分からないことばかりだ!
そしてギュスターに色々聞いて、この女の子はスミスという名前で、気が合うらしく入学当初から一緒に行動している。ということは分かった。入学から今までって・・・一年間だぞ、一年間こいつはスミスちゃんと会話をしなかったのか。


「どうやって生活してるんだお前・・・」

「身振り」

「ジェスチャーかよ!そんなんで生活できるわけないだろ!」

「特に困らない」

「ガルムさん、世界には話すことの出来ない方もいるわ。彼らだって話をしないけれど、きちんと生きていけるのよ」

「だからってなんで喋れるのにあえて黙ってるんだよ、訳わかんねええぇ」

「喋ることは、疲れるから」

「え?」

「面倒くさいということね」





・・・・・・・・・。





そんな理由でしゃべらないのかよ!ますます訳わかんねえ!ていうか自由すぎるだろ!!


・・・というツッコミを内心で炸裂させておいた。表に出さない俺様マジ紳士



「・・・じゃあ、なんで俺とは会話するわけ」




ここから冒頭に至る。







「な、なにが・・・?」



ギュスターが臆面もなく特別と言い放った訳だが、まるで意味が分からない。なんで?
俺とこいつは昨日あったばっかりだし、初対面の時からこいつとは話をしていた。初めて会った人を急に特別扱いなんてよっぽどの事がなければ無理だと思う。しかも俺がこいつに初めて言った言葉は『なあなあかのじょー、何してんの?暇?俺様んち来ない?』だぞ、これでどうやって特別扱いするんだ訳分からん。




「なにが?」

「特別って、なにが」

「あなたのことが」

「なんで!?」


そういうとギュスターは少し目を細めて、呟くように


「好きだから」


と言った。







――――――――

ガルムの一人称が"俺"と"俺様"の二つに分かれてるのは仕様です。
おふざけの時は俺様っていいます!俺様っ子まじジャスティス







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