HappyBirthday,MyHoney




「スモーカー、来たよ」
窓からひょっこり身を乗り出す、
俺の恋人でもある男。

「エース…無防備過ぎじゃねぇのか?
…そのうち本気で捕まるぞ」
海賊が自ら海軍の駐在所に赴くなんざ
自殺行為以外の何物でもねぇ。
なのに、こいつは全然懲りない。
「やー、そん時ゃ助けてくれるだろ?」
こんな事まで言いやがる。
全く、恋人だからと言えど
ここまで海軍をコケにする海賊もいねぇだろう。

「ったく、俺が捕まえちまうぞ?」
「スモーカーはそんな事出来ねェよ?
…だって、俺の事、好きだもんな!」
「………」
素顔で、笑顔で何を言ってやがる!
確かにそうだが畜生かわいいなオイ。

「……で、今日は何の用だ?新年の挨拶か?
それとも甘えに来たのか?」
「両方合ってるけど完答じゃねェなー」
「?……ヤりに来たのか?…すまん冗談だ」
冗談だから炎になるのは止めてくれ。
エースはそれを聞いて膨れっ面になった。
まぁ膨れっ面もかわいいが。

「スモーカーが求めてんなら構わないけどさ…
今日だけは俺が受け取る側だよ?!普通」
「普段受け取って無ぇのか?俺からの愛は」
「…俺が仕掛けてんじゃねェの、いっつも…
……じゃなくて!まだ分かんねェのか?!」
「あー…お年玉か?」
「……もういいよ…」
そう言ってぐすぐすと拗ね始めた。

体操座りしたその腕の隙間から
エロ親父だの馬鹿煙だの悪口が聞こえる。
…まぁ、俺には何のダメージも無いが…
しかし本気で何か分からん。さすがに…
「なぁエース、俺の負けだ。
何の日か教えてくれねぇか?」
「…スモーカー、俺の恋人失格。」
その一言はぐさりと突き刺さった。

恋人失格か…と、呆けていたら、
エースから答えの発表があった。
「今日さ…俺の誕生日なんだけど。」
前にも言ったのに、馬鹿スモーカー、とぼやく。
いや、…初耳だぞ?!
「ん…まぁ、その…すまねぇ」
そう言って頭を撫でてやると、パシッと払われた。
「?…どうした?」
「……ずりィ」
「はぁ?」

顔を下げたままで表情は分からねぇ。
が、分かりやすい。…真っ赤だ。耳が…
…本当に何でコイツはこんなにかわいいんだ!

「なんだ、どうした?!」
わざと尋ねてみれば、顔を上げて言い返す。

「…ただでさえ好きすぎて困ってんのに
何でもっと好きにさせようとするんだよ、
卑怯だぞ!…殺す気かよ…っ…!」

……本当に(以下略)
ああもう何も言うまい、
言ったら真面目に泣き出しそうだコイツ、
とそう思い、まぁ、

座り込むエースを、ただ、抱き締めた。

それだけなのにエースは本当に泣き出して
全く俺を困らせてくれた。


「ハッピーバースディ、エース…」
「う、っ…ずりィ、よ…っ!」
「…まだ言うか?しつこい奴だな」
「だって…!…なんか…すげェ嬉しい…」
「…そうか。…まだ何か欲しいんだろ?」
「まだ…まだ足りねェもん…!」
「…本当に欲張りだなお前…何をしたい?」
「……とりあえず、夜まで抱き締めてよ…。」
「その後はどうする?」
「もちろん……」



あぁ、元旦なのに、
疲れなんざ許しちゃくれねぇな。

…今日も夜は長い、か…


21の誕生日を迎えた恋人を胸に抱き
除夜の鐘では消す事の出来なかった
幸せと言う名の煩悩に酔いしれた。



Happy birthday, Ace.





end(and to be contenued…)




+++




A誕企画Aモクメラで誕生日祝。
うん…なんか真面目に書いたのか
ギャグ欲しさに書いたのか解んないです。
でも照れるエースってかわいいなー
って思ったら前の小説と被ってました
アイタタター。



恋人の誕生日を忘れるのは
2人の愛の亀裂になります!
絶対に忘れてはなりませんよ。
…と、言ってみる。が、
別に忘れても平気、と我が姉は語った…。





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