d'amour pour fin | ナノ








基本的に別人28号状態
ヘタレは標準装備
最終章








相馬と、やっと、思いが通じた。
いや、初めから相馬はわかりやすいくらい、俺を好きでいてくれた。
気づかなかったのは、俺だ。
――――――――ごめんな、相馬。






その後、相馬は何日かバイトを休んだ。
ずっと体調が悪いのを我慢していたのだろう。
あの体では、仕方のないことだろうけれど……。

復帰したとき、今迄見せていた鬼気迫るような表情は見て取れない。
いつもどおり、不敵な、何を考えているかわからない笑みを浮かべていた。
ああ、これで、やっと戻ってきた。

いや?
変わったのか……?
ふう、と一人厨房でため息を付いた。

「相馬君、元気になってよかったわね」
「轟………」

カウンター越しに、轟がつぶやいた。
あんなに焦がれていたのに、こんなに普通に話せる自分に驚いた。

「まあ、そうかな…」
「と、ところで、佐藤君…あの…」
「轟……」
「な、何……?」
「この前は、悪かったな……」
「え?」
「人を好きになる、って話」

轟はぽかん、としたままこちらを見ている。

「今なら、俺もわかる気がする」
「!?(佐藤君、好きな人がいるってことかしら……)」

―――――ズキン、

「まあ、悪かった。忘れろよ…」
「え、あ、うん…いいのよ、それくらい……」

轟は、それきり何も言わなかった。
そのまま厨房に戻る。




―――――ズキン、

「(何で、胸が痛くなるのかしら……)」
「おーい、やちよー」
「!?」
「パフェ、食いたい」
「はぁい、杏子さん!!」

―――――きっと、気のせいよね。







「ねえ、佐藤君」
「あ?」

休憩から戻ってきた相馬がすうっと俺の背後に立つ。
体はまだまだ細いままだが、表情は明るい。

「轟さんと、何話してたの?」
「別に……いつもの店長のノロケだ……」
「ふーん…………」

相馬は何も言わず、不服そうな顔で俺の隣にたつ。
右手でぎゅう、と俺の制服を掴んでいた。

「(何だこいつ……嫉妬してんのか…?)」
「………………」

相馬は未だ不服そうな顔で俺の制服を掴んで離そうとしない。
ぼふ、とうつむく頭に手を乗せる。

「……………」
「!? うわっ…!なに……?!」

そのままぐちゃぐちゃと頭を撫でまわす。
相馬の細い髪が指先に絡まるがかまわずにわっしゃわっしゃとかき回す。

「ちょ…!佐藤君!!!」
「……ばーーーーーか」
「!?」
「もう轟の事で考えるの、やめろ」
「!?……(ば、バレた……!?)」

明らかにしまった、という顔をする相馬がいとしくてたまらない。
お互いに自覚してからあれだけ、気持ちを伝えてきたのにもかかわらず未だに相馬は不安なようだ。
まだ足りないのか、こいつ………

「…………俺には、もう、おまえだけ、だからっ……」
「!!!???」

一気に顔に血液が集まるのがわかるようだ。
顔中が熱くてたまらない。

「わかったか」

自分で乱した相馬の髪を手櫛で梳いて整える。
相馬は未だうつむいたまま顔を上げる様子はない。
制服を掴む指が微かに震えている。

「佐藤君………」
「……なんだよ…」

相馬がふ、と顔を上げる。


「――――――――だいすきっ !」


そういって、にっこりと笑った。
もう、昔のような暗い影はない。

「………ああ、俺も、な」




――――――――自分も、うまく笑えていただろうか。





――――――――久しぶりに、相馬の笑顔を見た気がした。









「d’amour pour」 恋に狂う 






―――――――――きっと、俺たちは、もう間違えない。


















―――――――――――
と、言うわけで。
少し駆け足になってしまいましたが、やっと連載完結、と相成りました!!!!
注意書きの日付から考えると二ヶ月近く連載してたんですね…長かった…
始めはこんなに長くなる予定ではなかったんですがwwwwwwww
書くに当たって色々省いてしまった分は今後出す予定のオフ本で補完して行くしだいであります。
エロとか、エロとか、エロとかwwwwwwwww
最後、ほんとに支離滅裂で申し訳ありません…お詫びに相馬さんが脱ぐそうで…ちょ、何をすrくぁwせdrftgyふじこlp;@:

………えー…と、言うわけで、長々お付き合いありがとうございました!
今後また連載することがあればよろしくお願いします。



2010・08・08 朽葉 愁