d'amour pour 14 | ナノ







基本的に別人28号状態
ヘタレは標準装備










「そうか…」
「………うん、俺は幸せ、だよ」

相馬の顔がまともに見れなかった。
そのまま、何もせずに同じように仕事に戻った。
相馬の、視線に気づかないまま。






それから、何日かたった。
相馬に対する無意味な暴力も、
強制的なセックスも、
何も、なかった。

そう、何もなかったのだ。
何も。
相馬がやつれていく、原因となっていた俺の行動が。
なのに……

「(相馬のやつ、今にも倒れそう……)」

目の前にいる相馬の足取りはふらふらと危なっかしい。
背中も、また小さくなってしまった気がする。

「(俺は、どうしたらいい。どうしたい?)」

「(相馬はあの時幸せだといった)」

「(俺が理由のない暴力を振るっていても)」

「(なら、今は? 何もしていない今は不幸だというのか?)」

「(違うだろ。暴力を振られて喜ぶ人間なんて……)」

「ああっ!くそっ………!!!」

休憩室で一人考える。
すでに目の前の灰皿には何本もすいかけの煙草が押し付けられていた。

「佐藤さんも休憩ですか?」

ひょこ、と休憩室の戸口にワグナリア胡散臭い代表の山田葵が立っていた。

「おー…なんだ、山田もか?」
「山田、まだ仕事中です!」
「………働け!」
「今日山田は佐藤さんに言いたいことがあってわざわざ仕事をサボってきてあげたんです!!」
「そーかそーか、まずは仕事しろ」

何を考えているかわからない表情で山田が立っている。
こいつ、何も考えていないようで以外に物事を見ていたりする。

「佐藤さん……」
「何だ…」
「相馬さんのこと、何でちゃんと見てあげないんですか?」
「……はぁ?」
「相馬さん、佐藤さんのこと本気で好きなのに!」
「関係ないだろ、そんなこと…」
「関係あります!山田、知ってます。相馬さん…よく一人で泣いてます…」
「………」
「山田のおうち、屋根裏だから、よく聞こえるんです……」
「盗み聞きか?」
「ちっ違いますよ!! この前、佐藤さんと相馬さん喧嘩してたから……」
「(ああ、そういえば……)」

一回だけ、店で手を上げてしまったことがある。
切っ掛けも、理由も思い出せない。
そんな些細なこと。

「相馬さん、泣いてました……」


『ごめんね、ごめんねさとーくん……
男で、ごめん。
さとーくんを、好きになってごめん……

もう、どうしたらいいか、わからないよ……』


「かっ…かわいそうまさんです!!山田、スリリングな家族求めてますけど!これはかわいそうです!!」
「………山田……お前の妄想ってオチはないか…?」
「ないです!
佐藤さんこそ、相馬さんのこと好きなくせに!!!!」
「!!!!??!」
「たまに相馬さんと一緒にいるときすっごい優しい顔してます!
あと、最近八千代さん関連でイライラするの少なくなってます!あと店長にも優しいです!
…………山田には優しくないですけど」
「………よく見てるな、お前」
「!山田ほめられました!仕事サボって相馬さん見てた甲斐がありました!」
「仕事しろ!!」
「や、山田だってがんばってます!!!さとーさんのばーか!ヘタレー!!」
「はああっ!?」

聞き捨てならない言葉に戸口に立つ山田をにらみつけると

「逃げた……」

脅威の逃げ足で、すでにそこにはいなかった。

「好き、か………」

4年の片思いは、なんだったのか。
心乱れ、かき回される。

「…………相馬…」




―――――佐藤君!!




「(最近泣き顔しか、見てない……)」





相馬の笑顔が見たかった。











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山田…!!!!1←
とりあえず連載終わらせようと必死である…!
佐藤さん早く気持ちに気づいて…!!!!!1やりづらい!←