照美と平良
「落ちる時、空を見ていたいんだけど、どうすればいいと思う?」
「それはお前、背中から落ちればいい」
「背中か、なんだか怖いなぁ」
「馬鹿だな。落ちるなら腹からでも背中からでも変わりはないだろう?」
「だって、いつ地面にぶつかるか分からないじゃないか」
「まぁそうだろうな。でも空だけ見て、気づいたら死んでいるんだぞ?少しくらい、痛むかもしれないが」
「うん、痛むだろうね」
「耐えられるか?」
「耐える間もなく死ねるさ」
「あぁ、うまくいけば、な」
「うまくいかなかったら、本当の地獄が待っているだろうね」
「馬鹿。成功したって俺たちの行く先は地獄だろう」
「なんだっていいさ。僕らは一緒だ」
「不本意なんだけどな」
「酷いな。僕は嬉しいのに」
「煩い。もういくぞ」
「うん。じゃあ、せーのでいこうか」
『せーの』
おわり
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