照美
照美
幼い頃から、あまり怪我をしたことがなかった
だから、多分忘れていた
僕の身体の中を静かに流れているもの
負けて膝をついたあの時、思い出した
朱く激しい色をしていた
傷こそなかったけれど、確かにあの時、それは僕の身体から夥しいほどに流れ出ていた
色も匂いも感触も忘れていた
だから僕は一番大事なことも忘れていた
僕は神様になれなかった
神様は僕なんか要らなかった
おわり
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