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携帯のメールボックスを開き1件の受信メールをクリックする。内容は「おきずかいなくまたよければいきましよう」という漢字変換もなく小文字が大文字のままの携帯を買ったばかりなのが伺える1行半。

送信元は、「風丸一朗太」。昨日俺の携帯を拾ってくれた少年だ。初めは少女かと思ったが声のトーンと立ち振舞いが少年っぽく、名前を見て確信した。よくよく考えてみたら会ったばかりの少年にアドレスを聞くなんて俺不審者みたいだな。何故かあの時なんとか繋がりを残さないともう会えない気がしてつい咄嗟に。でも10歳くらい年下の少年に「お礼がしたいから何処か行かないか」って俺、端からみたら本気で不審者だなと苦笑いしつつ液晶画面を見つめ本文を何度も読み返す。

お気遣いなく…か、礼儀正しい子だな。お礼だし行くとしたら食事か?いやでも相手は中学生ぐらいだしな…ファミレス?いやそれはちょっと…遊園地とかか。でも携帯を拾ってくれたお礼にそこまでするのはおかしいか…

「…どう…く」
「円堂監督!!」

考え込んでて全く気付かなかった。「ん?」と顔を上げると呆れた顔で腕を組む神童。俺が監督をしている雷門中サッカー部のキャプテンだ。

「みんなストレッチ終わったのですが次は」
「神童、お前だったらお礼っていったら何処行きたい?」
「はい?」
「やっぱ中学生だし映画とかか?」
「何の話ですか」

風丸もサッカーやってたらスポーツ用品店とかに連れて行くんだけどな、風丸サッカーやってないかな。またメールしてみよう。

そういえば風丸、携帯初心者みたいだし俺が登録1番初めだったりしないかな…って、駄目だもう思考回路が不審者だ。こんなこと鬼道にいったら怒られそうだな。

「円堂監督聞いてますか?」
「もう自主練しようぜ神童」



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