日向は"希望"化してますが、カムクライズル化はしていません。それを前提にどうぞ↓↓



そろい


"苗木クン"を観察してて分かったことがある。

まずどんなに狛枝が近付いても、あの超高校級の幸運で相殺されるかのように彼の周りには"幸運の代償"が及ばないこと。
なかなか1人でいることが少ないということ。
そして、霧切さんという子と仲がいいということ。

放課後、俺の席の前を陣取っておもむろにそれは始まった。

「まったくやんなっちゃうよ…。いつも誰かと一緒にいて簡単に2人っきりになれやしない」
「……」
「一番危険なのは十神クンなんだ!絶対に苗木クンを狙ってる…なんとかしたいんだけど、さすが可愛い苗木クンの幸運が及ぶのか、ボクなんかの幸運じゃウンともスンともいわないんだ」
「…ぉい」
「それはそれで苗木クンがすごくて、可愛いってことになるからいいんだけど、やっぱり、」
「おい!」

どうゆう状況だ、これは。

「……なに?日向クン」
「お前は俺にどうしろっていうんだ」

望んでもいないのに、強制的に一方的に"苗木クン"トークに付き合わされて。
良く言えばただの恋愛話だが、真実を見ろ!
ただの変態話だ!
脱線して、拉致したいーだの監禁したいーだの言い始めたこと数知れない。
そもそも始めの観察してみた、とかただのストーカーだろ。目を覚ませ。
狂気とも呼べる先天性才能至上主義で、いつも俺に対して上から目線のこいつの話であれば尚更。
眉間に皺もよる。

「…だから、日向クンは嫌いなんだよね」
「知ってる。俺もお前が理解できない。だけど、狛枝の"幸運"を跳ね返せるのも俺ぐらいだろ。諦めろ」

意思とは関係なく身近なものと引き換えに手に入れる諸刃の幸運。
人工物故にすべての才能を持ち、神と称えられる希望。

恐れと崇拝。理由は違えどどちらも周りから敬遠されているもの同士だ。
お互い嫌い合うものの、なんだかんだで1年以上ツルんでる。


「でもわかったでしょ?恋って盲目なわけ」
「それで?」
「とりあえずボクは特に仲良くしたくもないキミに、あえて話しかけてしまうほど、キミを腹立たしく感じちゃうんだよ」
「……なんだよ」

とてつもなく嫌な予感がした。

「その、苗木クンとおそろいに見える頭の上の触角。刈らせて。」

ははっなんかすごく許せない。


にこ、と可愛い微笑みと同時に、
全力の鬼ごっこが開始した。




※死守せよ触覚


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