かれました・裏話


「…ってことでね、当分そっちには帰れそうにないんだ」
『あー、いいよいいよ!観てたからそっちの事情はわかってるつもり。大変だろうけど頑張ってね!』

繋げたテレビ電話の映像から朝日奈さんの明るい声と笑顔が届く。
定期連絡とはいえ元気そうな姿にホッとした。

「長期間いなくなっちゃうけど平気?」
『うん。とりあえず今回の絶望生き残りメンバーのことは永眠-DEAD-状態って報告しといた。苗木達はその残務処理って事にしてあるから大丈夫だよ!』
「ありがとう。でもあまりにも滞在が長すぎると上から怪しまれちゃうね」
『平気平気!いざとなったら最強の呪文があるから!』
「じゅもん?」
『"苗木は新婚旅行中です!"って言ってやるんだ。たぶん上層部のほとんどは廃人状態になって当分は無効化できるはず!』
『げええ!?苗木っち結婚したべか!?』
『嘘に決まってるでしょ!葉隠は黙ってて!』
『ハイ』

何故か隣にいる霧切さんが珍しく大爆笑している。

「それ最高に面白いわね…っ」
「…なんでそのセリフが上層部と関係あるのさ」
「…さあ?」
「出た、霧切さんの意地悪発言」
「あら。私はいつでも苗木君の味方よ?」
「答えになってないよ」

ジトッと睨みつけるが素知らぬ笑顔でかわされる。
さっき爆笑した時に出たらしい涙が目尻に滲んでるよ、…もう。
ほんわかした空気を引き締めるように十神クンが話を戻した。

「全員の覚醒はいいとして。問題は、狛枝と罪木だ」
『性格に難有の狛枝に、一度絶望化に戻ってしまった罪木さんだね』
「そうだ。初めに覚醒するのが狛枝になりそうだからな。それも含めて一応その2人が絶望化していないことだけは確認しなければいけないだろう」
「ええ、そうね」
「その事なんだけど。そろそろアルターエゴのお陰で七海さんを復活させられそうなんだ。罪木さんについては絶望病前まで戻せないか相談してみるつもり」
『なるほど!』
「残るは狛枝君かしら」
『んー、それについては俺っちに妙案が!狛枝っちは苗木っちが懐柔すればいいべ?』
「…なんだと?」
「…へ?」

十神クンと間抜けな声が重なった。

『狛枝っちは見るからに希望厨だかんな!希望の苗木っちが近くにいてやれば絶望することもないべ!』
「あら、名案ね」
「ええぇ、懐柔って何!?」
「要は仲良くなればいいって事よ。大丈夫、苗木君にならできるわ」
「そんな、無責任な…!」
「…ふん、俺は反対だがな。他に案が思いつかない以上その路線でいくしかあるまい」
「十神クンまで…!」

どんどん話が進んでいくことにちょっと焦る。
霧切さんにポンと肩を叩かれて「お友達が出来ると思えばいいのよ」と声をかけられた。
友達か。
おなじ幸運同士だし、それならなれるかもしれない。
十神クンが、他に案がないか考えてやる!と力強く言うのでとりあえずは、このままでいくことにした。


「そういえば腐川さんは?」
『えっと、なんか"十神様と会えない時間が愛を深めるの〜!"とか言って部屋に籠ってたよ』

その瞬間、十神クンの手によって通信が強制的に終了した。



(まあ、お友達なんて狛枝君側がどう思うか分からないんだけれどね)
(苗木をあんな奴に近づけさせられるか、何としてでも代案を考えなければ)

それぞれの思惑は続く。




※ダンガンロンパ1の皆大好き!


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