の定義


「日向クン、人は生まれた瞬間に自分の限界と役割が決まってるんだよ」

コロシアイ修学旅行で新しい島を探索中、突然狛枝が話しかけてきた。

「…相変わらず、何を言い出すんだ」
「まあまあ、そういわずに聞いてよ!要はね、無意識的にでも役割を知っているからこそのアイデンティティなんだよ。自己を保っていられる」
「………で?」
「だから才能という自分の役割が欠けている日向クンは、自己の構成が圧倒的に欠落しているんだよ!存在が無いとも言えるよね!未来がないんだ…!」
「……お前は、俺に喧嘩を売ってるのか?」
「まさか!だからこそ、期待しているんだ。未来がないキミが現に未来に向って生きている。この矛盾はそれに比例する大きな力が無いと!強い希望とかね…!!」
「はぁ…また、それか」

いい加減にしろよ。
勝手に俺をダシに盛り上がるな。

「一つだけ。ボクがカスみたいなこの才能で信じられるのは、幸運と同等の不幸、またはその逆の等価交換。その代償の範囲に他人の限界(生死)と役割を塗り替えられるところなんだよね」

だから殺して欲しいのに。
等価に見合うだけの希望を作る為に。
そう、狂言を繰り返すコイツを殴り飛ばしたい。

「…少し黙れ」

もう一回縛って置いた方がいいんじゃないか。
相変わらずの危険思想過ぎて付き合ってられない。


***

そうして、自分の望みの為に死を作り出して。

未来機関が生き残るのがお前の"希望"だったのか?
それともそれに打ち勝った俺達が"希望"だったのか?
それとも俺達には想像の付かない"希望"があったのだろうか。

死人はもういない。


このコロシアイ修学旅行は終局を迎え、アイツの望み通り希望が絶望に打ち勝って。
この希望はお前の死によって塗り替えられた未来なのか。
そもそもあの死がここまで計算されていたものなのか。
さらに分からなくなった。


(…せめて、お前が死と引き換えにしてまで望んでいた強い希望が、俺だったと信じたい)




※個人的には終局も織込み済みで狛枝くんの勝ち逃げ


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