心理分析


探偵業から帰ってきて、数日ぶりの登校。
真っ先に向かった教室は以前と変化はなく。
早めに来たせいか人はほとんどいない。
その中に窓側の自席に座っている苗木君の姿を確認した。

(…苗木君がこんなに早くからいるなんて珍しいわね)

遠目でしかないけれど、何となく挙動もおかしい。


―――今、苗木君を取り巻く恋愛模様は複雑で。
男女問わず好かれているが、本人は気づかず終い。
どんなに周りが盛り上がろうが、彼自身が無頓着で膠着状態だったはず。

それが何かしら。
極僅かだけれど赤くなったり、目が遠くを見ていたり。

(……何かあったわね)

不在の間の急展開。
面白いわ。



「おはよう、苗木君」
「うわぁあっ!!!」
「あら、酷い反応ね」
「あれ!?霧切さん、戻ってきてたの?」
「ええ。昨日の夜にね」

改めておはようと挨拶し合って。
状況判断は情報収集から。
反射反応も重要な判断材料のひとつなので、ズバッと本題を切り出した。

「…で?私がいない間、気になる人でも出来たのかしら?」
「ええぇ!?何、突然!」

(赤面は無し)

純粋に驚いているのを見る限り、苗木君の中でまだ恋愛には発展していないのかもしれない。

いきなり過ぎた感もあるけれど、時間は有限なのよ。
最低でも戦刃さんや十神君が来る前には聞いておかなくては。
彼等がいたら、まともにこんな話をする時間すら無くなる可能性がある。

「朝早くから来てぼーっとして。気にならない方がおかしいわ」
「……う」

でも何で他の人の事考えてたのが分かるの…。とか、時々霧切さんは意地悪だ。とか。
顔に出てるわよ。
むしろ苗木君が分かりやす過ぎるのよ。

「内緒な考え事だったのかしら?」
「いや、そんなことないよ…」

少しの躊躇の後、ぽつりと。

「霧切さんがいない間、とある先輩と仲良くなったんだよね」
「ええ」
「普段イケメンなんだけどね、え、笑顔が可愛いくてね。ギャ、ギャップがね」

(……あなたほど笑顔が可愛い人もいないと思うけれど)

なるほど。
その先輩という人にだいぶ興味を持っている、と。
イケメンと言うからには男決定だわ。
十神君、ライバルよ。

うぅ…先輩にこんな可愛いとかおかしいよね。
なんてちょっと赤くなって頭を抱えて見せたけど。
大丈夫、周りはあなたのことをよっぽど可愛いと思っているはず。

私としては苗木君が幸せであれば誰と一緒になってもいいのだけれど。
でも、入り乱れ混戦になった方が今後の展開が複雑になって面白そう。
苗木君を動かす新たな登場人物に少しだけわくわくした。


朝礼のキッカリ10分前に戦刃さんが登校して来て、話はそこで終了。

(問題は苗木君のこの心情を周りがどれだけ把握しているか、ね)

あと、その先輩とやらの特定もしておきたい。
今日は忙しくなりそうな予感がした。




※狛枝くんの立ち絵とスチルのギャップが半端ない、という話。


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