「か、和成君…本当に良かったのかな…?」
「大丈夫だって。どうせ、みんな寝てるだろうし。」

彼女の手を引き、砂浜へと向かう。
今俺たちは、学校行事の一つである臨海学校に来ている。

「夜中に抜け出すの、一回はやってみたかったんだよねー。」

よくマンガとかであるけど、本当にこんな事が出来るなんて思っていなかった。
しかも、大好きな彼女と。

「やっぱり都会の方とは違うな…。星、すっげぇ綺麗に見える。」
「うわぁ…プラネタリウムみたい…。」

上を見上げると、たくさんの星が輝いていた。
普段の日常生活では、人工的な明かりが周りを占めているので宇宙の光がここまで届くことは滅多にない。
届いたとしても、少し見えるだけでここまでハッキリとはしていない。

「やっぱり出て来てよかっただろ?」

少し得意げに彼女に言うと

「ありがとう、和成君。」

そう言って、きらきら輝く星も霞む位の笑顔で笑ってくれた。
それと同時に、何だか胸の辺りがドキドキしてくる。

「#名前#。」

後ろからぎゅっと抱きしめる。

「和成君…?」

砂浜に打ち寄せる波の音に混じって、俺の心臓の音も聞こえてる。
彼女にも聞こえるくらい大きい音かもしれない。
この世界に、俺と彼女しか居ないんじゃないかって思えるくらい静かだから。

「今度は、二人だけで来たいな。」

彼女は返事の代わりに、俺の手を少し引っ張った。

「「指切りげんまん、嘘付いたら針千本のーます、指切った。」」