意外にさ、やきもちやくんだ | ナノ
偶然会った西村くんと北本くんと一緒に登校して、授業中は三人で落書きしたノートの切れ端を回して遊んでた。先生に見つかって三人一緒に廊下に出されたけどそれがまた楽しかった。お昼ご飯も西村くんと北本くんと一緒に食べて、帰りも三人で帰ってきた。西村くんも北本くんも個性豊かでとても素敵な人たちだと再認識した。


・ ・ ・

学校を休んだ夏目の代わりに今日の出来事を語ると、布団の中にいる彼はなんだか不機嫌そうな、悲しそうな顔を私に向けてくる。本当は夏目も一緒にいたいだろうけど風邪を引いたんじゃ仕方がない。塔子さんも私たちも心配する。私が心配しているのが分かったのか、夏目が申し訳無さそうに眉を八の字に曲げ始める。一日中布団の中にいるのがどれだけ退屈なことはよく知っているから、こうして放課後お見舞いに来たの。「ありがとな」夏目は静かに言った。

まだ少し熱があって明日も学校へ行けるか分からないらしい。早く夏目と一緒に学校行きたい。そう言ったら今度は少し照れて、そうだなって頷いた



「あ、そうえばニャンコ先生は?どこ行っちゃったの?」

「さあ気が付いたらいなかった。用心棒のくせに仕方ないな」

「いないなんて残念だなぁ」


夏目のお見舞いのついでにニャンコ先生をぎゅっとする予定だったのに…まさか逃げた?!――ブツブツ呟く私に夏目は乾いた笑みを浮かべる。趣味が悪いと言うけれど、逆に言えばあの可愛さが分からない夏目がおかしい。


「そうえば5組の多軌さんも夏目のこと心配してたよ」

早く良くなりますようにって私に手を合わせてくれて、たまたま通りかかった田沼くんも真似して私を神様か仏様みたいに拝んでた。それから、なぜか私の心配もしてくれた。夏目に風邪を移されて今度はお前が風邪を引くなよって。私はそんなにやわじゃないのに


気が付けばベラベラと私事ばかりを並べていた。まるで自慢話のようだ。夏目だってこんな風にみんなと騒いで笑って楽しみたかったのに。風邪なんて引きたくて引いたわけじゃないのに申し訳ないことをしちゃったな…

ちょっとした罪悪感から次の言葉が浮かばず、氷枕を取り替えるのを口実に立ち上がった。「ちょっと替えてくるねー」そう言って背を向けると、夏目にスカートのすそを引っ張られた。振り返った先には不機嫌そうな顔が待っていた。いつの間にか夏目の地雷を踏んでしまったか


「行くなって」


「え」

「え?」


顔を見合わせてぱちくり。自分で言った言葉のくせに夏目もなにやら目を丸くして驚いている。今、夏目何て、言った…の?「夏目…?」困惑しながらも名前を呼んだら、スカートのすそを掴んだまま下を向いて動かない。そんな彼の手に、手のひらを重ねてみる。ビクリと肩を震わせた夏目がちょっとおかしかった。「い、いまの、一緒にいたいって意味でしょ?!」私は何を夏目に言わせたいんだろう。言葉巧みに夏目を誘導しようとしている。


「…もしかして、やきもち?」

「は?なんて」

「だーかーらーや!き!も!ち!」

「誰が誰に?」

「夏目がみんなに」

「なんで?」

「私を取られー…って!言わせないでよ」


逆にこっちが恥ずかしくなって顔が火照る。腕に抱えた氷枕を顔に押し付けたけど大して冷たくないそれを当てたところで意味などなく、ただ熱があがるだけだった。覗き込まれて名前を呼ばれ、顔を上げたら口付けされた

「なんで私が羞恥心に襲われてるんだろう」

「はは、耳まで真っ赤だ」

「笑わないでよ。やきもち妬いてたくせに」

「仕方ないだろ」

「そこで素直に肯定しないでください。それより、キスなんかして風邪引いたらどうするのよ」

田沼くんの言っていた言葉の意味をなんとなく理解した。「あ、悪い」なんて微笑を浮かべながら言う夏目はなんだか嬉しそう。

「やわじゃないんだからもう少ししてもいいよな?」



意外にさ、やきもちやくんだ/0127

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