act.41










赤司先輩と過ごす時間が日に日に増えていく。
そんな中で、少しは親しくなれたのではないか。近付けたのではないか。
そう思っていたのが自分だけではなく、赤司先輩も同じように思ってくれていたことに気付いて、つい泣いてしまいそうになった。
同時に、そういう浮かれたことは自分が一人で勝手に考えていればいい、なんて半ば投げやりな気持ちを抱いていたことにも気付いた。
いくら自分が荒んだ状況に立たされているからといって、卑屈になってばかりいてはいけない。
赤司先輩の前では、特に。
心の中で自分を叱るように呟く。

昨日は赤司先輩のおかげで気持ちを切り替えることができた。
こんなことも、もう何度目の出来事なのだろうか。
赤司先輩の言葉を何度も思い返しながら、席に着いて帰りのホームルームの終わりをぼんやりと待っていた。
試験前だからか、あちらこちらから試験の話が聞こえてくる。

いつしか雑音にも聞こえてくる話し声に包み込まれていると、無意識に画像のことを思い出してしまった。
みんなは知っているのだろうか。
赤司先輩は気にする必要はないと言ってくれたけれど、どこからか笑い声が聞こえてくると、やはり何の話をしているのか気になってしまう。
しかし、そんなことはただの現実逃避に過ぎなかった。
この期に及んで、知らないはずがないのだ。
さすがの私も今の自分の状況を知っていながら、みんながこんなネタになるような話を知らないなんてそんな愚かな希望を抱けるほど単純な思考回路ではなくなっている。
全てを諦めるかのように溜息を吐くと、少しだけ気が楽になったような気がした。

何もかも、赤司先輩のためだ。
自分自身で納得できそうな理由付けをしていなければ、どうにかなってしまいそうだった。











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