act.38










「黄瀬ちん、あのさ〜…今日、掃除当番だから先に行ってて〜」

「了解っス」

「…めんどくさー」



掃除用のモップを片手に、ぶつぶつと文句を言いながら、紫原は今日の掃除当番の輪の中に入っていった。
ここまでめんどくさいと言いながらも、掃除当番をサボったりしないことには感心してしまう。
気を取り直して、黄瀬は教室から出ていった。
今日は誰にも呼び止められる気がしない。
部活とモデルの仕事との折り合いを考えても、遅れをとらないためにも、なるべく休まずに部活には出たかった。

廊下で挨拶してくる友達や女の子に笑顔で手を振る。
そのとき、前方に緑間と黒子の後ろ姿が見えた。
すぐさま、声をかけようと足早に近付いていく。
しかし、会話をしている二人の表情はどことなく深刻そうだった。



「緑間っち、黒子っち!」

「…黄瀬か」

「どうも」

「あの、何かあったんスか?」

「え…どうしてですか?」」

「二人とも、真面目な顔して話してるから」

「真面目な顔ですか…?別に何もないですよ、話してただけです」

「黒子がよく行く店に、お汁粉パフェという新商品が出たという話を聞いていただけなのだよ」

「緑間くん、マジバですよ」






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