act.36
先輩の方から一緒に帰ろうと誘ってもらえるなんて、初めてのことだった。
誘われたとき、自分は一体どんな顔をしていたのだろうか。変な顔をしていなかっただろうか。
思いがけない出来事に、色々なことを考えてしまう。
しかし、今は考えるより先に早く着替えなければいけない。
赤司先輩と黒子先輩が待っている。
更衣室に戻るや否や、純奈はロッカーから私物を取り出して、それを長椅子に置いた。
ロッカーの空き具合から考えて、更衣室を利用している生徒はもう自分以外には残っていない。
時間をかけて支度ができる、なんて呑気なことを考えていたけれど、そうもいかなくなった。
急いでジャージを脱いで、シャツのボタンを留めていく。
着替えが終わってから、鞄を手に取った。
それから電灯のスイッチを消して、更衣室を後にする。
まっすぐに部室へ戻っていった。
→