「そろそろ帰るから着替えてくるよ」

「え、もういいんですか…?」

「ああ、純奈が来たときに切り上げてもいいかと思ったんだが…とにかく、帰るぞ」

「はい…あの、じゃあ、校門の前で待ってますね」



分かった、そう小さく呟くと赤司先輩は一足先に体育館から出ていってしまった。

もしかして、先程の私を見て、考える時間を与えてくれたのだろうか。
特別な意味なんてありはしない、そんなことは考えずとも分かっているはずなのに、それでも赤司先輩の行動の意図を想像してしまう。
かといって、いちいち反応を示していては、いずれは鬱陶しがられるかもしれない。
ただでさえ、今の私は自覚が足りないにしても、危険な状況なのだ。
他人に鬱陶しいと思われるに十分な条件を揃えてしまっている。
赤司先輩にそう思われないためにも、赤司先輩の前ではいくら神経を磨り減らしてでも、自然に振る舞わなければいけない。

気を取り直すように深く息を吐いた。
早く校門の前に行って赤司先輩が来るのを待っていよう。
傍に置いておいた鞄を担いで、少し遅れてから体育館を出ていった。











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