用意しておいたものを受け取るためにやってきた美里香と顔を合わせたものの、これといった会話はなかった。
美里香のことだから、交友関係も考えて、私の噂なんてもうとっくに知っているだろう。
それどころか、その件に関しては美里香も加担していたのではないかなんて根拠もない疑惑まで抱いてしまう始末だ。
考えれば考えるほど話しにくくなって、目を見ることもできないまま、美里香の背中を見送った。

こんなとき、美里香と関係が拗れてしまったりしていなければ、迷うことなく美里香に相談していただろう。
そうは思ったけれど、話せるような間柄ならば私だってこんなややこしい出来事に巻き込まれもしなかったはずだ。



「…間宮さん、お疲れ様です」



突然聞こえてきた声にはっと目を上げた。
気付けば、目の前には制服姿の黒子先輩が立っている。
部活が終わって、洗濯物も全て片付けて更衣室に向かう途中だった。
慌てて頭を軽く下げて、声をかける。



「黒子先輩、こんなところで…どうしたんですか?」

「今度、家の用事で部活に出られない日があるので赤司くんに話してたんですよ」

「…あの、赤司先輩、まだいるんですか?」

「はい、今日は来るのが遅くなったから残って練習してるみたいです」

「そうなんですか…」



そういうことならば、もしかしたら赤司先輩と話せるかもしれない。
せっかくだから様子だけでもこっそり見てみようか。
どうしようかと考えていると、黒子先輩が首を傾げる。






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