あれから赤司先輩と紫原先輩とは別れて、更衣室に向かっていった。
部活用のジャージに着替えてから、挨拶をするために桃井先輩を探して、体育準備室の方に歩いていく。
直接的には行かないけれど、第一体育館の付近を通りかかるときは不安を感じた。
いつ、どこでキセキの先輩たちと出くわしてしまうか分からない。
自ら避けているつもりはなかった。
ただ、先輩たちの白々しい態度を肌で実感してしまうことが嫌で仕方ないのだ。
偶然にも美里香と一緒にいるところに出くわした場面なんかを想像すると、どういう展開になるのか予想がつくだけに胸が痛む。



「失礼します…」

「あ、純奈ちゃん…遅かったね、今日は来ないのかと思ってたよ」

「遅れてごめんなさい。ここのことは、私がします…」

「う、うん。ありがとう…えっと、じゃあ、私は第一体育館に行くから何かあったら来てね」

「…はい、分かりました」



桃井先輩がこちらを気にしている様子が手に取るように分かったけれど、なんと言えばいいのか分からず、反応を見せることもなかった。
第一体育館に行くなんて聞いただけでも総毛立ってしまい、何も起こらないことを心の中で祈る。
ぎこちない空気のせいで、私も桃井先輩も不自然なほどに構えた態度になってしまっていた。
桃井先輩が体育準備室から出ていって、背後で扉の閉まる音がしてから、そこでようやく小さく肩の力を抜く。

なんだか赤司先輩と話がしたかった。
さっきは紫原先輩がいる手前、話せなかったけれど、昼休みのことを早く話したい。
また話すチャンスが訪れないものかと思いながら、それぞれの体育館に配るためのタオルを台車付きの大きい籠に入れていく。






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