昼食を済ませてから、紫原は食堂の前で赤司と別れた。
赤司は、監督と今後の練習試合のことで話さないといけないことがあるらしい。
赤ちんは忙しい人だな、なんて呑気なことを考えながら、さっさと歩いていく赤司の背中を見送る。


ふと時計を見上げた。
昼休みが終わるまで、まだ少し時間が残っている。
そこで思いついたままに紫原は購買部に向かっていった。
持ってきていたお菓子のストックが底を尽きかけていたことを思い出したのだ。

向かう途中、おぼろげながらに思考を働かせる。
最初は確かにバスケ部のことを考えていた。
しかし、思った以上に思考が働かず、いつの間にかお菓子を食べたいという日頃の考えに頭が切り替わってしまう。
いつものお菓子にするか、新作のお菓子に手を出してみるか、本気で悩んでしまった。


購買部に到着すると、たくさんの女子に囲まれて困り果てた顔をしている黄瀬とすれ違った。
お菓子を求めている紫原はそんな黄瀬に目を向けることもなく、商品の棚の前に立ち、袋を手にとっては考え込む。
その瞬間、紫原の背後から大きい声が飛んできた。



「紫原っち!ど、どこに行ってたんスか、もう!!」

「はー?なんのこと?」

「いいからいいから!」



ここは合わせてくれと目で訴えかけられて、紫原は口を閉ざす。
黄瀬は周りを囲んでいた女子たちに軽く謝って、紫原に駆け寄っていった。
わざとらしい態度に紫原は無言のまま黄瀬を見つめる。
無言の圧力に気付いたのか、黄瀬は口元に苦笑いを浮かべた。



「ご、ごめんなさい…なぜか今日はなかなか解放してもらえなくて…」

「別に気にしてないけどー」

「…あの、同じクラスで同じバスケ部っていうよしみで頼むんスけど、よかったら今日は一緒に部活に行ってもらえないっスか?」

「なんで?」

「なんとなくなんスけど、今日は放課後も捕まりそうで」

「…どうしよっかな〜…」

「お願い、紫原っち!」






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