「純奈ちんも掃除当番?」

「あ…そ、そうなんです…」



掃除当番なんて嘘だった。
今日は帰りのホームルームが終わってから、しばらく教室でぼんやりしていて、それから屋上に向かって今に至る。
そんなことをしていた理由はとても話しにくくて、話す気にもなれなかった。
他のうまい言い訳が思いつかなかったとはいえ、咄嗟に適当な嘘を吐いてしまったことに少しだけ後悔する。



「赤司先輩は…?」

「僕も掃除当番だよ。焼却炉で紫原と会って、それから一緒にね」

「え…あ、赤司先輩って…掃除当番、回ってくるんですか…?」

「…ん?」

「どういう意味だ?」



三人で顔を見合わせた。
赤司先輩と紫原先輩も話がつかめないのか、頭の上に疑問符を浮かべている。

一年生の頃、バスケ部の数少ない女子マネージャーたちと赤司先輩の話をしたときに聞いた話を思い出した。
赤司先輩は帝光の他のどの生徒より色々な面で特別な人だから、様々な優遇を受けられるという内容だ。
何がどのように特別なのか、具体的な話はしたのかどうかさえ覚えていない。
ただ、あの頃の自分は赤司先輩と直接的な面識はなかったけれど、他の人とは違う独特な雰囲気を醸し出しているのを薄々感じていたから話を疑うことはしなかった。
様々な優遇の中に掃除当番の免除も含まれている。
優遇という言葉を単直に理解して、そんなことを思い込んでいた。
しかし、赤司先輩と紫原先輩の不可解な表情を見ると、その認識は間違っているのではないかという不安が芽生えてくる。






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