「…赤ちんが学校で携帯いじんのって珍しい…」
「そうか?」
「あんまり見かけないかなー」
「…確かに、学校内で携帯はあまりいじらないな」
「やっぱそうだよね〜」
昼休み、赤司と紫原は食堂に来ていた。
目立たない隅の方に席をとって、向かい合って座っている。
食事には目も向けずに携帯に視線を落としている赤司を物珍しそうに見つめながら、紫原は自分の食事を口に運んでいった。
二人の間に沈黙が流れる。
そうしているうちに、食堂には人が集まってきて、だんだんと騒がしい空気になっていった。
やがて、携帯から目を上げた赤司はそれをポケットにしまい、何事もなかったかのように食事を始める。
その様子を見て、先程から黙々と食事をしていた紫原が声をかけた。
「メール?」
「ああ」
「ふーん…誰から?」
「純奈だよ」
「赤ちんって純奈ちんのメアド知ってたの?」
「ああ、教えてもらったんだ」
「へえ〜」
赤司の話に興味が湧いたのか、口を動かしながらも視線は赤司に向ける紫原。
口の中に含んでいるものを飲み込んでから、紫原は話を続けた。
「あ、でもさ〜…赤ちんと純奈ちんって、そんなに仲良かったっけ?」
「どうしてそう思うんだ」
「だって二人が話してるとこなんか見たことないんだもん」
「…仲が良い、か」
「うん」
「今となっては否定はしないが…ただ、仲が良いと言われると少し違うような気がするな」
「…よく分かんないけど…そうなんだー」
「…」
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