赤司先輩の考えに反発するなんて、そんなことは恐れ多くてとてもできなかったけれど、こればかりは疑問を抱いてしまった。
赤司先輩の言う通り、青峰先輩は本当はそこまで気にしていないのだろうか。
キセキの先輩たちから色々と言われていたときのことを思い出すと、今の赤司先輩の言葉をただ鵜呑みにはできなかった。
仮にもそうだったとしたら、これまでにあった出来事によって心境の変化が生じたとしか考えられない。
それでも想像できなくて、途方に暮れて小さく息を吐く。

そのとき、背後に誰かの気配を感じた。
赤司先輩も同様に気付いたのか、ほぼ同時に振り返る。
後ろに立っていたのは生活指導の先生だった。
その先生の顔を見た瞬間、昨日職員室で注意を受けたことを思い出す。
向こうは神妙な面持ちで私と赤司先輩を交互に見比べていた。



「間宮、少し話があるんだがいいか」

「え…は、はい」

「それから…赤司、知り合いなのか?」

「はい、男子バスケ部のマネージャーなのでよく知っています」

「ああ、バスケ部だったんだな」



意外そうな声を上げられる。
悲しいことに、こういった反応をされることにはもうすっかり慣れてしまった。
しかし、唐突な先生の介入によって、雲行きの怪しさを感じる。
面倒事は早々に済ませてしまいたくて、おずおずと先生に声をかけた。



「あの、先生…」

「ああ、ちょっとついてきなさい」

「…赤司先輩…ええと、今日は…」

「構わないよ。何かあれば、また連絡してくれればいいさ」



ごめんなさいと一言だけ呟く。
それから、先を歩いていく先生についていった。

一体何を言われるというのだろうか。
これ以上、何か注意されることがあったのか見当もつかなくて、気が気でないまま歩いた。
生活指導の先生から直々に呼び出しをくらうなんて、嫌なことしか想像できない。






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